職場の先輩の効用

古くなりましたが、1月31日の朝日新聞、オピニオン欄は「65歳会社員を考える」でした。小林智明・日本能率協会マネジメントセンター部長の発言から。
・・大半の会社は、高齢者に専門的な仕事を期待していません。営業でも生産技術でも、次々と新しいやり方が出てきます。高齢者が持っているノウハウは、すぐに役に立たなくなってしまう・・
高齢者に求められている資質は何かと問われると、ひとえに「愛嬌」に尽きます。その人がいるだけで場が和やかになり、若手の仕事がはかどって、生産性の向上につながる「潤滑油」の役目です。
例えば、若手が仕事に行き詰まったとき、適切なアドバイスができる、そういう人材です。食事と失敗の回数は負けないはずですから。自分の体験に引きつけて改善策を話すことがでるとか・・
ふだんは存在感が薄くていいんです。いざ、という時に、人間の大きさを感じ取ってもらえれば大成功です。
逆に「俺はあのとき、こうやって契約につなげたんだ」などと自信たっぷりに話したり、説教するのは禁物です・・自慢話や愚痴は、同輩としてください・・

仮設住宅での医療提供

2月5日の日経新聞「魚の町から-石巻復興物語」に、仮設住宅でのお年寄りの診療の必要を指摘し、自ら診療に取り組むことになった長(「ちょう」というお名前です)医師が取り上げられていました。先生は、長野県佐久総合病院の小海診療所のお医者さんです。過疎の山間部で、訪問診療をしておられ、仮設住宅での「医療過疎」を指摘されたのです。
ありがとうございます。
建物を造るだけでは、暮らす環境にならないことが、良くわかります。

政治の理想と現実

ようやく、E.H.カー著『危機の二十年』(邦訳2011年、岩波文庫)を、読み終えました。布団の中で読むには、難しい本ですが、文庫本なので挑戦しました。とはいえ、500ページを超えます。読みやすい訳ですが、寝転がって読む本ではありません。
原著は、1939年に出版されました。国際政治学の基本文献です。第1次大戦と第2次大戦の戦間期の国際政治(ヨーロッパ政治)を対象としつつ、ユートピアニズム(アイデアリズム、理想主義)とリアリズム(現実主義)のせめぎ合いを分析したものです。国際連盟などの理想主義の限界を指摘した本として有名です。
私の本棚には、1952年に岩波書店から出た、井上茂訳が並んでいます。久しぶりに取り出したら、変色したパラフィン紙(グラシン紙。若い人は知らないでしょうね。かつて岩波新書をはじめ、多くの本に被さっていました)がかかり、箱に入っています。買った日付が奥書に、1975年10月と記入されています。定価は、800円です。20歳の時に買ったのですね。内容は、ほぼ忘れていました(反省)。
ところで、新訳では、解説にもあとがきにも、旧訳について言及がありません。どうしてでしょうね。

今回読んでみて、改めてその分析の鋭さに、感心しました。訳者による解説もわかりやすいです。世間を知らない学生時代に読むのと、官僚として政治と付き合ってみてから読むのとでは、得るところが違いますね。
カーは、イギリスの政治学者で、『歴史とは何か』(岩波新書)が、有名です。

福島復興協議会

今日は、福島市で、復興大臣と知事との意見交換、その後に国と県との協議会でした。福島特別立法の概要要綱案をお示しし、説明しました。
この法律は、原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興及び再生のためのものです。要綱のうち、第1総則の目的、基本理念、国の責務、第2福島復興再生基本方針(最初の3ページ)だけでも読んでいただくと、意図を理解していただけると思います。
昨秋、県からの要望を受け、検討をしてきました。政府内や与党との調整がある程度進んだので、今日、要綱の形でお示ししました。市町村にも事前に意見を聞き、取り入れるべきことは、盛り込みました。なんと言っても、この法律や福島県の復興は、地元のために行うのですから、地元の意向を反映する必要があります。
このホームページでも書きましたが、政府関係者が福島に出かけて協議をすることが、象徴的です。また今日も、関係各省の幹部に参加をお願いし、大勢の職員が出席しました。環境省、経産省、文科省、農水省、総務省、厚労省、国交省・・。協議会は、毎回のように時間を延長して、議論をしています。今日も、約2時間かかりました。
新法を作るとしては比較的短期間で、大部な法案ができたと思います。協議会では複数の委員から、「遅いが、感謝する」との発言を頂きました。休みを返上し、睡眠時間を削って頑張ってくれた職員も、喜ぶと思います。
さらに与党調整などを進めて、早期に国会に提出します。

復興宝くじ

2月14日から、復興宝くじが発売されます。俳優の木村拓哉さんが宣伝をしておられるとのことで、テレビでご覧になった人も多いでしょう。
今回から、コンビニのローソンでも買うことができます。
「この宝くじの発売予定額660億円に対する収益金は288億円を予定していますが、そのうち88億円が、災害復興支援分として、東日本大震災の被災地である9県2指定都市(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県、仙台市、千葉市)に分配され、災害復興事業等に役立てられることになっています」とのことです。
1等賞3億円、前後賞をあわせると5億円です。1枚300円で夢を買って、復興支援ができます。