古くなりましたが、12月24日の朝日新聞オピニオン欄で、入交昭一郎さんが、次のようなことを発言しておられました。
・・「日本の製造業」「日本のものづくり」と言っていますが、その定義を考える必要があると思うのです・・生産している場所が重要なのか、それをコントロールしている場所が重要なのか・・(ドイツの自動車メーカーが国内ではなく海外工場で伸びていること、それでもドイツの製造業であることを指摘して)
・・地域の経済と企業の発展は、別のものになっている。海外で車を作るホンダやトヨタも「日本の製造業」ですよ。私は、21世紀の日本人は工場も働き手も海外に出て出稼ぎすべきだと言っているんです。海外で生産した製品を海外の市場で売って、その利益を日本に持ってくる。国内の生産が難しくなっても、日本の製造業が世界各地に根を下ろして頑張れば、世界中から日本におカネが集まってくる。企業はその装置になればよい・・・この項、続く。
月別アーカイブ: 2012年1月
復興本部会合
今日夕刻、官邸で復興本部会合が開かれ、復興庁が2月10日に開庁することが、決まりました。
事務局ではすでに、開庁に向けて、職員の増強、執務室の拡大、出先機関の強化などの準備を進めています。開庁日や支所の設置場所が決まったことで、さらに準備を加速させます。一つの省を作るのですから、内部規則など準備しなければならないことは、山のようにあります。出先を含め、常勤職員は250人程度になる予定です。
復興庁が取り組まなければならない仕事(任務)は、既に復興本部事務局として取り組んでいます。大きな変更はありません。ただし、昨年6月末に復興本部事務局ができて、約7か月。3月に被災者支援本部ができてからは、約11か月が経ちます。日々の記録は、それぞれのホームページ(復興本部の記録、被災者支援本部の記録)に残してあります。その時々の成果と課題も載せてあります。今日の会合でも、現在抱えている大きな課題を5つ報告しました。
ここで一区切りですから、これまでの成果と課題を、整理する必要がありますね。それも、「××をした」「制度をつくった」ではなく、「現地ではこのような成果があった」「復旧がこれだけ進んだ」という、現地での成果指向の評価が必要でしょう。
もちろん、国や復興本部の努力だけでは、現地の復興は進みません。自治体、さらには民間の方の協力を得て、かなり事業が進み、いろんな課題を解決してきたつもりです。まだまだ「遅い」とか「問題がある」とのご指摘があることは、承知しています。これからも、着実に解決していきましょう。
日本の魅力
日経新聞1月10日連載「C世代駆ける」に、日本の大学や大学院に留学している外国人へのアンケートが載っています。
「日本にあって、あなたの国にないものは」という問いに対して、34%の人が「便利な生活環境」と答えています。次が「高度な科学技術」で19%、「謙虚な国民性」が17%、「治安の良さ」が11%、「将来への希望」が5%です。私たちが当たり前と思っている生活環境が、諸外国ではそうではありません。
同じ欄に、日本の学生に聞いた「未来に向け発揮できる日本の強み」の結果が載っています。1位は「技術力・ものづくり」で67%、次が「文化などのソフトパワー」で29%です。以下、IT分野、新型エネルギーや環境関連、かなり少ないですが、人材、外交力の順になっています。
またまた、仕事のはかどる週末
昨日(土曜日)、今日(日曜日)と出張がなく、ゆっくりと資料の整理と仕事の課題を考えることができました。これからしなければならないこと、し残していること。ゆったりと考えると、いろいろと「発見」できます。
「平日は毎日、何をしているのですか」とお叱りを受けそうですが、前例のない仕事、「去年の例」がない職場なので、仕方ないですね。職員に「去年通りやっておいて」ということができないのです。みんな、頑張ってくれているのですが。
私が指示書を書いておくので、部下職員は、明日出勤しその指示を見て、「仕事が増える」ことになります。ごめん。
「ゆったりと」と書きましたが、何人かの記者さんから電話やメールが来て、「邪魔」をされました(笑い)。各紙がニュースの「先取り合戦」をするので、「出し抜かれた社」が、そのニュースの確認やら、新しいことがないかを聞いてくるのです。すると、A社はB社の記事を確認し、B社はA社の記事を確認する、追いかけっこになります。数日早く書いても、日本社会も現地の復興も変わらないと思うのですが。そのエネルギーを、もっと他のところに使う方が生産的だと考えるのは、私だけでしょうか。
2日間ありましたが、残念ながら、予定していた仕事を全て片付けるところまでは至りませんでした。でも、いくつか気になっていた課題を整理できたので、満足しましょう。読もうと取ってある仕事以外の資料は、また鞄の中で出勤と帰宅を繰り返すのでしょうね(反省)。
衆議院調査局論文誌、鎌田先生の論文
衆議院調査局の論文誌「RESEARCH BUREAU 論究」2011年12月号が、大震災を特集しています。鎌田浩毅京大教授の論文も載っています。先生の文章を、一部引用します。
・・東日本大震災は、我が国にとって戦後最大の試練と言われている。地球科学的に見ると、実は戦後の復興期は地震も少なかった時期という幸運に恵まれていたのである。こうした地震の少ない恵まれた時代が終わったのが、1995 年の阪神・淡路大震災なのである。
日本の復興期と高度経済成長期に地震がなかったのは、ラッキー以外の何ものでもない。言わば、パクス・ロマーナ、パクス・アメリカーナに続くパクス・ジャポニカだったと言えるかもしれない。
それが20 世紀末の1995 年で終了し、その後の世界はアメリカの「9.11」から21 世紀の動乱が始まった。奇しくも「9.11」が世界を変えたのと同様に、「3.11」も日本とアジアを根本から変えると思われる。日本人はこれからどうやって生きていくべきかについて、もう一度考え直すきっかけを、大きな犠牲と共に与えられたのである・・
また、大震災関連の立法一覧も載っています。