昨日このホームページで、市町村の地区復興計画の策定作業について書きました。具体的な例を、紹介します。大槌町の例です。
住民説明会の開催日程、町の中心地区の復興案の例です。もちろん、図面はこのあと、さらに詳細なものが必要になります。
イメージを、つかんでいただけたでしょうか。各市町村で、このような作業が続けられています。
月別アーカイブ: 2011年10月
復旧復興事業の地方負担への手当
今日の現地での意見交換会では、復旧・復興事業の市町村負担についての要望が出ました。たいがいの事業は、国庫補助制度があります。事業費の一定割合の金額、例えば3分の2とかの金額を、各省が補助します。しかし、その残り3分の1の金額は、市町村の負担になります。通常の災害にあっては、その市町村負担は、市町村が借金(地方債)をして、後年度にその元利償還金の多くを地方交付税でお渡しします。
しかし、今回は被害が膨大で、地方負担も大変な額に上ります。町の予算の何十年分もの金額になるところもあります。すると、借金の額も膨大になり、また地方交付税で手当てする際に1%でも残りがあると、その1%も一つ一つの事業では小さくても、たくさんの事業になると、これまた大きな金額になります。市町村が、払いきれません。
そこで今回は、特別な財政支援をして、各市町村の実質的な負担がゼロになるようにします。
まず、その財源です。国は5年間で19兆円の復旧復興事業費がかかると試算しました。この中には、国費と地方費の両方が含まれています。すなわち、見込まれる事業の国庫補助金と残りの地方負担額の双方が、この金額に含まれています。その財源として、国はひとまず復興債を出し、その元利償還金は増税などで賄います。
7日に決めた第3次補正予算では、地方費は1.6兆円と見込んでいます(資料1-1一般会計の補正 「地方交付税の加算 1.6 兆円程度」)。ここには、平成23年度の第1次、第2次、第3次補正にかかる地方負担額が、すべてが含まれています。これを、各地方団体に、必要額に応じて配ればよいのです。
7日の記者会見で、総務大臣は、「個々の被災団体における実質負担をゼロするとともに、震災復興特別交付税(仮称)として、通常の特別交付税とは別枠で、決定・配分してまいりたい」と発言しておられます。
地方交付税には、普通交付税と特別交付税があります。今回は、これとは別に、すなわち財源も配分方法も、通常の交付税とは違ったものになります。
市町村の復興計画策定
今日12日は、復興大臣のお供をして、岩手県に行ってきました。宮古市、山田町、大槌町で、復興計画策定がどのように進んでいるかを視察し、要望を聞くためです。被災地では、仮設住宅の建設がほぼ完了し、がれき片付けも、おおむねめどが立ちました。道路や港湾などの仮復旧も進み、町の復興計画をつくる段階に進んでいます。
もちろん、各市町村では、春から復興の基本方針を作り始めています。現在は、地区ごとに、どの程度の防潮堤を作り、どこに道路を引き、どの地域には住まないようにするか、その場合はどこに住宅を移転するかを、決める作業に入っています。役場が案をいくつかつくり、住民の意見を聞くのです。
技術的な支援は、国土交通省の職員を中心に、国の職員が助言に入っています。しかし、地区の計画を決定するのは、市町村であり、住民です。
これは、なかなかやっかいな作業です。何度も意見の交換を行い、丁寧に意見の集約をする必要があります。津波で流された地区は、もう一度住むには、危険な地区もあります。すると、違うところに移転せざるをえません。しかし、多くの地区は後ろは山であり、そんなに条件の良い場所があるわけでありません。
秋の3連休
秋の3連休、多くの地域では、天候にも恵まれました。運動会や行楽に出かけられた方や、ゆっくりと休日を楽しまれた方も多いでしょう。
私も3日の内、2日はお休みを頂き、家族や友人との「不義理の穴埋め」に励みました。今年の3月に被災地支援の仕事に就いて以来、手帳を見ると、これで10日休んだことになります(苦笑)。
今日は出勤し、いつものように、たまった資料やメールを処理。これからしなければならない仕事を書き出し、進め方を考え、部下に指示を出し、ひとまず終了。職員は連休明けに出勤して、机や椅子の上にある私からの指示書を見たりメールでの指示を見たら、元気がなくなりますかねえ(笑い)。
ところが、復興特区や復興庁の法案を作成している職員たちは、今日も出勤してくれています。申し訳ないことです。我が事務局の忙しさを、「普通の霞ヶ関並みにすること」も、次の大きな課題です。法案ができ、国会審議を経て成立したら、次の段階に入るのですが。
一方で、第3次補正予算の概要がまとまったので、地方自治体に説明に行くことや、市町村が取り組んでいる復興計画策定の支援に入ることも、急ぎの仕事です。明日11日の夕刻から岩手県に入り、翌12日にいくつかの市町村で、復興計画策定の視察をする予定です。
懐かしの執務室取り壊し、内閣を補助する事務の統合と管理
内閣府庁舎の別館(B棟)の、取り壊し工事が始まりました。総理官邸の向かいに、いわゆる本府ビルがあります。その南側に、講堂や会議室がある別館があります。3月20日以降約3か月間、そこの講堂と会議室に、被災者支援本部(チーム)が入っていました。講堂とその上にあるプレハブなので、執務室としてはあまり環境は良くありません。
さらに、当初は机も椅子もなく、大変な状況でした。当時の状況は、写真で残してあります。この写真の内、下段左2つが講堂、下段右がプレハブ執務室です。なつかしいですねえ(4月21日の記事でも、紹介しました)。仕事が大変だっただけに、思い入れもひとしおです。新しいビルを建てるので、取り壊されます。
内閣府と内閣官房は、省庁再編の際に、いろんな部局と機能が集まったので、本府庁舎のほかに、いろんなところに分散しています。さらにその後、新しい課題に対応するため、新組織や臨時組織がつくられています。内閣官房にどのような組織があるか、組織図をご覧ください。
私どものように、民間ビルに入っている組織も多いです。やはり不便ですね。課題は、庁舎を建てて近くに寄せることと、これら機能の管理と統合をどうするかです。
後者は、行政組織論、統治機能論として、大きな課題です。世間では、国家行政機構を「霞ヶ関」「1府12省」「各省庁」と呼び、そのようにイメージすることが多いです。しかし、官邸行政機構(総務官室や秘書官室など)の機能と役割、内閣官房の機能と役割、内閣府の機能と役割は、大きくなっています。各省より一段上に、これらの組織があります。各省に属さない新しい仕事、各省にまたがる仕事、総理からの特命の仕事、さらに各省間を調整する仕事が主です。課題が次々と変わっていくことも、特徴です。また、仕事柄、各省との連携も重要です。職員は、寄せ集めにならざるをえません。
これらの制度設計、職員の配置と養成をどうするか。これまでの教科書や論壇で取り上げられていませんが、大きな課題です。いつか時間ができたら、事実と議論を整理しようと思っているのですが。いつものように決意表明(苦笑)。