続・法律の輸出

(続・法律の輸出)
先日、日本が明治維新の際に、ヨーロッパから法律を輸入しながら、その後、輸出をしなかったことを書きました(10月8日の記事)。このページでは、かつて「社会の制度・インフラの輸出」を書いたこともあります(2011年1月10日)。
政府のインターネットテレビが、アジア各国に対する法制度整備支援を、紹介しています。少し役人らしい言葉遣いもあり、分かりにくい点もありますが、あまり知られていないことなので、ご覧ください。

日本の家を輸出する

10月9日の日経新聞文化欄に、原研哉さんが「日本の家を輸出する」を書いておられました(古くなってすみません)。
・・日本の家を輸出する。こう言うと、狭くて画一的な住居が世界の人々の興味を引くのだろうかと、怪訝に思われるかもしれない。
しかし、玄関で靴を脱ぐ暮らし方は、身体と環境が直ちに触れあい対話する未来型住環境として大きな可能性を持っている。また、住空間を自分の暮らしに合わせて自在に作り直そうという今日の機運は、日本の伝統とハイテクを掛け合わせた新たな住環境の出現を予感させるのである。
・・風呂やトイレなど生活機器については、繊細・丁寧・緻密・簡潔を旨とする日本の美意識が、これをさらに進化させるだろう。シャワー付き便座もクリーム状の泡風呂も、清潔・爽快な住環境の高度化を加速しそうである。
・・お隣の中国は都市化が加速し、旺盛な住宅建設に沸き返っている。しかし出来上がる集合住宅は、まだまだ粗い。ここに、未来型の日本の「家」を持ち込めばどうなるか・・
ものづくりは今日、アジア全域に広がり、単体の家電を独占的に輸出する時代は、終焉を迎えつつある。日本の資源は石油や鉱物ではなく、「美意識」である。千数百年の伝統を持つ生活文化大国として、いかなる産業ヴィジョンを見出し、世界にどんな価値を提供できるかが、今まさに問われている・・

なるほど。私は、家は各民族の文化の結晶であり、そう簡単に輸出や輸入はできないと考えていました。畳にしろお風呂にしろ。しかし、現在の集合住宅(アパートやマンション)を考えれば、日本の最先端の住宅は、輸出するだけの価値はありますね。それは、電化製品などとセットになった、住みよい空間です。ものを単体で輸出するのではなく、セットで輸出する。その際に、家は良いパッケージでしょう。
日本の伝統的民家を輸出することは、難しいでしょう。日本の都会でも建てることは、庶民には困難です。しかし、現在の日本のマンションや一戸建ては、狭い中に工夫をして、住み良さを追求しています。安全であり、快適です。欧米の大邸宅とは違った良さがあります。車で言えば、大型のアメ車(これも古い言葉になりました)と違う、コンパクトだけど運転性能と居住性に優れた日本車です。
欧米の建築を輸入するとか、大きなビルや記念碑的建物を設計することも重要ですが、日本の家を輸出することは、重要な戦略です。日本は、輸入と模倣、国内での成熟の時代を過ぎ、輸出の時代に入っています。どの程度、日本の家が輸出されているのでしょうか。建築家とハウスメーカーの奮起を、期待したいです。

国と福島県との協議会

今日は、福島市で、第2回目の国と県との協議会が開催されました(資料はこちら)。県から要望のあった財政支援・基金について、第3次補正予算に盛り込んだので、その報告。先日、緊急時避難準備区域を解除したので、その報告と、帰還に向けての課題。東電の賠償金請求手続の問題など。県や市町村からは、次の課題が提起され、今後解決していくことになりました。
地元で、国の関係者が集まって議論することは、良いことだと考えています。東京に来てもらうのでなく、地元ですから、地元の方は発言しやすいと思います。そして、言いっぱなし聞きっぱなしでなく、次回には回答しなければなりません。

地方団体の復興基金への財源手当

17日に、総務大臣が、東日本大震災に係る「取崩し型復興基金」の創設を発表されました。関係県が基金を作る場合に、特別交付税で支援する内容です。7月29日に決めた「復興の基本方針」の中に、地域が基金を作る際に、国が支援すると明記されていました。
特別交付税での支援なので、使い道は特定されません。自治体の判断で使うことができます。究極の「使い勝手の良い基金」です。もちろん公金ですから、何にでもというわけにはいきません。
阪神淡路大震災や中越地震の際には、運用型基金を支援しました。簡単に言うと、県が銀行からお金を借り、財団法人などに作った基金に無利子で貸し付けます。その運用差額(金利差)を、基金が使えるように仕組みます。しかし現在は低金利なので、金利差が出てきません。よって、今回は、特別交付税によって、現金で支援することになりました。実質的な支援額は、阪神淡路大震災の時より、大きくなっています。
先日解説した「復旧・復興事業の地方負担額への特別な交付税での財源手当」(10月12日の記事)とあわせ、被災地方団体は心配なく、多くの事業ができることになります。

日本広報学会

10月22日に開かれる日本広報学会研究発表大会で、基調講演を仰せつかりました。私は政府広報の担当者でもなく、広報の専門家でもないので、辞退したのですが。「被災者支援の段階から携わっているので、その体験からしゃべれ」とのことで、お引き受けしました。
政府が、被災者や被災地支援のために行った広報や情報提供は、いろんな方法で、かなりの件数に上ります。講演のために資料を整理し、何をしたか何が足りなかったかを、振り返りました。職員にも意見をもらい、考えました。講演は、良い機会ですね。レジュメと資料を用意したのですが、内容が多すぎて、切り捨てるのに困ります。
当日は土曜日なので、お引き受けしたのですが、公務が入りませんように。