昨日の日本広報学会には、企業の不祥事の際のおわびのプロもおられました。「私もプロですよ」と、少し経験談をお話ししてきました(2007年1月31日の記事)。
そこでお会いした、村上信夫さんの『会社をつぶす経営者の一言―失言考現学』(2010年、中公新書ラクレ)を、紹介します。
この本では、食品の賞味期限偽装、牛肉偽装、自動車の欠陥隠しなど、会社名を出すと、皆さん「そういえば、そのようなことがあったな」と思い出される事件の数々が、紹介されています。その際の不祥事そのものではなく、それが発覚した後の記者会見のまずさを、分析・整理してあります。そして、下手な記者会見=隠したことがばれて会社がつぶれた例と、うまく記者会見をして=できる限り情報を出して早く事件が終息した例が載っています。
「こうすべきだ」といった抽象的な教訓より、実例を読んだ方が、勉強になりますよね。一読をお勧めします。
これだけも豊富な実例が載るということは、それだけ事例が多い、まだ懲りていない、ということでしょうか。なお、会社が起こした事件の実例については、奥村宏著『会社はなぜ事件を繰り返すのか―検証・戦後会社史』(2004年、NTT出版)などがあります。