企業による被災地支援

朝日新聞の連載特集、9日は「人々・地域」でした。3県の沿岸市町村ごとに、人口流出数がグラフで示されています。
人々が街から出て行き、商店の営業が成り立たなくなった地域が、紹介されています。病院や銀行もなくなり、街に戻っても生活できません。負のスパイラルになっています。私たちの暮らしは、いろんなサービスから成り立っていることが、改めてわかります。
また、同紙の教育面では、企業による教育現場の支援が、紹介されていました。製薬会社が、薬箱を学校に届け、教員のマッサージをしている例。印刷会社が移動図書館を、仮設住宅に巡回している例。いくつもの企業が、奨学金を作っていることなどが、紹介されています。

企業による被災地支援は、阪神淡路大震災では、見られなかったことだそうです。その後、企業の社会的責任が重視されるようになったのです。社員が支援を企画したけれど、現地の実情にあわず、本業を活かした支援に取り組んでいるという解説もあります。行政の行き届かないところを支援していただき、ありがたいことです。
また9日の日経新聞では、大企業100社の社会的責任活動調査が載っていました。約8割の企業が、義援金を寄付しています。その多くは1~2億円ですが、1割の企業は10億円以上も送っています。約5割の企業が物資を送ってくださり、約3割の企業が社員を派遣してくださっています。

神戸、自治体災害会議で講演

今日は、神戸市での自治体災害対策全国会議に呼ばれ、講演をしてきました。貝原前知事と五百旗頭防衛大校長のご指名です。全国から約350人の災害担当職員が、集まっておられました。
私の役割は、今回の東日本大震災での、政府の取組を紹介すること、特に国と自治体との関係を解説しました。政府は、これまでにない取組をしています。断片的には伝えられていますが、改めて整理してお話ししました。私にとっても、この半年を整理する良い機会でした。
いつものように、レジュメと資料を用意して臨んだのですが、お話ししているうちに、あの大変だった頃を思い出して、ついつい脱線。熱くなるとダメですねえ(笑い)。でも、体験談を交えた方が、観客も興味を持ってもらえるでしょう(言い訳)。

最近は東北新幹線ばかりで、東海道新幹線に乗るのは、久しぶりです。
昨夜は、福島県から帰宅したのが深夜。今日は4時半起きで、神戸へ。講演が終わったら、とんぼ返りで職場へ。私の帰りを待ち受けている職員たちが、相談に押し寄せ、さらに官房長官や大臣への説明も入って・・・。
明日は、岩手大学で地方財政学会の震災復興のパネルディスカッションです。少しでも多くの人に、今回の災害から学んだこと、政府の対応などを理解してもらえるよう、都合が付く限り出かけましょう。

市町村長の訴え

読売新聞も、発災6か月になったことで、今日8日から、特集を組んでいます。被災地42市町村長のアンケートでは、生活再建のめどが立たないこと、防波堤の復旧が遅れていること、漁業の復興が遅れていることなどの意見が多かったです。
また、市町村別に、主な復興計画の内容が紹介されていました。特に女川町での、町民らによる計画策定が、詳しく紹介されています。どの地区に人が住まないか、どの地区に住居を引っ越すか。住民の議論と合意が必要です。

福島での意見交換会

今日は、復興担当大臣のお供をして、福島県に、総理と知事の意見交換会、さらに総理と被災市町村長との意見交換会に、行ってきました。野田新総理は、原発などを視察してからの県庁入りだったので、意見交換会は夜になりました。
残念ながら、避難区域は解除されておらず、被災市町村は、復旧に進むことができません。市町村長からは、避難が続いている住民の苦悩や、除染を早く進めることへの強い要望が出されました。

被災地の健康と医療

朝日新聞の大震災半年の特集連載、7日は健康・医療でした。病院と医師が不足している地域があること、避難者の健康不安、特に心の問題を取り上げていました。時間が経つに従って、健康の課題が変わっていくことも、解説しています。
この連載は、昨日まず雇用を取り上げ、今日は健康を取り上げています。この切り口は、よい視点だと思います。災害からの復旧といえば、通常は道路や建物の復旧を思い浮かべます。しかし、復興は、そのようなインフラだけではないのです。
また、がれきの片付けにしろインフラの復旧にしろ、復旧が進んでいます。そこで、このような課題にも、目が向いたのだと思います。そして、時間が経つにつれて、問題が変わってきます。

今回、このような課題を取り上げてもらったことは、私たちにとっても、ありがたいことです。被災者、被災地、そして国民の皆さんに、これまで気づかない課題を知ってもらうことができます。そして、私たちも、指摘された現地の課題の解決に、取り組みます。
もちろん、指摘されないようにすることが良いことなのですが、完璧は無理です。また、インフラの復旧が進んだので、それらではなく、このような課題が取り上げられているとも言えます。仮設住宅での孤立や孤独死については、早い段階から手を打ってきました。しかし、新しい課題は、次々と出てきます。
「復旧が遅れている」といった抽象的な指摘では、私たちは手の打ちようがありません。具体的な指摘は、ありがたいです。