今日11日午後、官邸で復興本部会合を開きました。新内閣になったので、閣僚に、これまでの実績と現状、そしてこれからの課題を、共有してもらいました。原発災害本部と合同でです。発災以来6か月が経つことから、午後2時46分に合わせて、黙祷をしました。
復興本部として取り立てて新しい資料はありませんが、最新のもの(資料2、同別冊資料編)にしてあるので、ご利用ください。また、原発事故チームとの役割分担を、わかりやすく示した図も載せました(資料1の2枚目)。
月別アーカイブ: 2011年9月
被災者の雇用
古くなりましたが、9月5日の日経新聞地域欄に、「被災者共助の輪、広がる」が載っていました。(すみません、気になった新聞記事は切り取っておくのですが、毎日忙しく、このホームページに書くのを忘れてしまうのです。)
記事では、相馬市で、被災者が臨時雇用され、仮設住宅にリヤカーで野菜や生活用品を売って回ったり、高齢者の話し相手になっています。雇用創出基金による事業です。9月6日の記事でも解説しました。
この事業は、市町村役場が被災者を直接雇うことを想定していましたが、事業自体を民間企業にも委託できます。役場は忙しいので、事業全体を委託することは効率的です。人材派遣会社やNPOがノウハウを持っていて、活躍しています。
用意した予算はまだまだ余っているので、活用してほしいです。
政策思考力を養う
北海道大学の宮脇淳先生が、『政策を創る!考える力を身につける!「政策思考力」基礎講座』(2011年、ぎょうせい)を、出版されました。中央政府の職員にも、地方政府の職員にも、新しい課題に対し、政策を考えることが要求されます。
何度も書いていますが、先進諸国に学び、政策を輸入する時代は、とっくの昔に終わりました。例えば、世界一の高齢国になった日本に、お手本はありません。地域の産業をどう振興するか。課題は、地元にあります。
自治大学校などでは、いわゆるケーススタディで、具体的な課題について、どのように対策を考え実行に移すかを、練習してもらっています。
宮脇先生の新著は、ケーススタディではなく、その前に必要となる基礎力を養うものです。例えば、「全体の議論をしているはずなのに、個々の詳細な細部の議論に終始してしまうと、1つの枝(細部)の議論が終わると、次の枝の議論になってしまい、全体の議論に至らない。これを、ムササビ議論と呼ぶ」といった指摘(p239)は、皆さん思い当たるところがあるでしょう。長い会議や、回数だけ重ねているのに、結論が出ない会議です(笑い)。
読者としては、政策を創っている人やこれから政策を創っていく人、30~40代の町を盛り上げようとしている人を中心に、考えておられるそうです。この本は、政策基礎力原論ともいうべき書物で、読みこなすには少し努力が必要かもしれません。政策を作ることができる幹部を目指している職員の皆さん、チャレンジしてください。
自衛隊・海上保安庁の国際貢献
9月11日の朝日新聞オピニオン欄に、大野博人記者の「もう一つの3.11。国籍のない犯罪の時代」が載っていました。東日本大震災が起きた2011年3月11日に、ソマリア沖の自衛艦で、米軍から引き渡された海賊4人を、海上保安官が逮捕したことを、解説しています。公海上の事件でも、日本の司法手続にかけることができるという「海賊対処法」での、初の事例です。
海賊といってもTシャツに短パンという、普通の若者4人です。彼らが襲ったタンカーを運航していたのは、日本の商船三井です。現場は公海上。船籍はバハマ、積み荷は中国向け、乗組員24人に日本人はいません。現場に急行したのは、アメリカ軍とトルコ軍。
破綻国家ソマリアに、国民を裁く能力はなく、どこの国も敬遠する中で、日本が裁判を引き受けたとのことです。
国籍のない事件を、世界政府がない現代では、どこの国が引き受けるか。かつての日本なら、「一国平和主義」の下、遠慮したのでしょう。海賊が「活躍する」アデン湾・ソマリア沖で、海運の利益を最も受けているのは、日本です。わが国は、「関係ありません」とか「能力がありません」とは、言っておられなくなりました。PKO活動や多国籍軍への協力など、危険が伴っても世界の安全への貢献が、求められています。
アデン湾・ソマリア沖の海賊対策での、自衛隊の活躍については、自衛隊のホームページをご覧ください。
地方財政学会シンポジウム
今日は、岩手大学で、地方財政学会の震災復興のシンポジウムに出席し、パネリストを務めてきました。200人近くの方が、参加してくださいました。地味な催しですが、たくさんの方が熱心に聞いてくださって、びっくりしました。
菅野飯舘村長の基調講演の後、井上博夫・岩手大学教授、増田聡・東北大学教授、清水修二・福島大学副学長と私の4人で討論です。司会は金子勝慶應大学教授でした。
テーマが多岐にわたり、持ち時間は少なく、結構大変でしたが、金子先生が上手に司会進行してくださいました。研究者の方は、それぞれの観点から問題提起をされます。当方は、立場上そういうわけにはいかず、政府の取組を説明することになります。もっとも、私見も交えながら、課題などにも触れてきました。
現場で話を聞いたり、違う世界の人と話すと、行政が行っている復旧・復興が、いかに狭い範囲に限られているかが分かります。
個人や家庭の生活の再建、地域の復興、産業の復旧、地域の未来像、自治体ができる復旧と復興の範囲、日本経済に与える影響、原発に対する考え方や「想定外」といった社会の意識の変化など。復旧と復興といっても、いくつもの次元があります。このうち、行政が貢献できる範囲は、限られています。