かつてこのホームページに、肝冷斎という下宿人がいました。その後、独り立ちし、個人ホームページを構えました。かなりのページ数になっています。
しかし、ここ一月は仕事が忙しいらしく、その旨を「漢文日録」や「観タマ記」で、ぼやいています。でも、また記述が復活したので、安心です。
月別アーカイブ: 2011年4月
一義的
最近、気になる言葉使いに、「一義的」があります。例えば「一義的には××電力株式会社に責任がある」とか「一義的には市町村の仕事です」といった発言が、新聞に載ります。しかし、もしそれが「まずは××会社に責任があり、ダメな時は国が責任を持つ」といった意味なら、「一次的には」と言うべきでしょう。
本来「一義的」は、「それ以外に意味や解釈が考えられないこと」や「いちばん大切な意味。根本的」といった意味で、辞書にもそのような解説が載っています。「一義的には××会社の責任」と言うと、「××会社以外に責任はない。国は責任を持たない」という意味になるのではないでしょうか。
行政改革の分類
以下の記述は、この論文を書くまでの道のりです。
日本が取り組んでいる行政改革を、目的別に整理してみました。「行政改革の分類」です。かなり前から試行錯誤していたのですが、ようやく一つの割り切りにたどり着きました。あわせて、行政の分類もやってみました。これはもう、10年以上前からの宿題です。もちろん、分類はその目的によって様々なものがあります。私の分類も、一つの試みでしかありません。でも、本人は、すごく意欲的な表と思っています。まだ改善の余地はありますが、ひとまず、すっきりしました。(2007年2月19日)
Ⅰ 行政改革の分類
(行政改革の目的別分類)
今日本が取り組んでいる行政改革を、分類したいと考えていました。かつて、省庁改革に携わったときに、少し試みたことがあります。「省庁改革の現場から」p218では、主に政治と行政機構の改革について分類しました(下の参考に載せてあります)。「新地方自治入門」p244では、行政のスリム化という観点で、図示しました。
その後も、いろいろな行政改革が続けられています。しかし、その中にはいろんなものが含まれていて、きれいに整理されていません。また、ある言葉の中に様々な目的のものが含まれています。例えば、「官から民へ」へといった場合、民営化・民間委託だけでなく、事前調整から事後監視へや、規制改革も含まれます。「規制改革」は小さな政府からスタートして、市場の活性化にシフトしてきました。これらの言葉も、整理してみたかったのです。
(行革を迫るもの、目的からの分類)
試行錯誤した結果が、「行政構造改革の分類」(目的・効果別の歴史)です。行政改革といわず、行政構造改革と名付けたのは、より深く構造的な改革を迫っていると考えるからです。
今回もうまく表にできないので、ファイルで載せます。うまく開かないときは、一度パソコンに(デスクトップにでも)保存して、それから開いてください。(2007年2月19日)
加筆修正しました。分類を大きく、「財政再建・経済活性化」「官の役割変更」「ガバナンス改革」に分けました。この順に、行政改革が対象範囲を広げ、意図も拡大したという意味を込めています。
一つの改革が、2つ以上の意味と効果を持つこともあり、いくつかの欄に分類されることもあります。ひとまずの割り切りだとご了解下さい。また、範囲が広がったこともあり、表題を「行政構造改革」と変更しました。副題は、「目的別・効果別の歴史」です。(2010年10月9日)
その後、さらに加筆しました。表題は「行政改革の分類」としました。(2010年12月11日)
行政改革の分類(ワード)
【歴史遺産】(古い表)
2007.5.3 gyouseikouzoukaikakubunnrui.doc
この表の作成には、山下哲夫総務省行政管理局管理官、福井仁史福岡大学法学部教授の協力を得ました。表の都合上、時期が必ずしも正確ではありません。
これはその名の通り、近年の行革をその目的や効果で分類したものです。もちろん、分類はその目的によって、いろいろなものが考えられるでしょう。この表は、日本の行政をめぐる「環境の変化」と「役割の変化」から、考えてあります。改革を迫るものは、一つには「日本社会の成熟」(右肩上がりの終了、発展途上国の終了)であり、もう一つは、「世界の進化に合わせること」(国際化への対応、新自由主義的改革、公開と参加)です。
「小さな政府」といっても、歳出削減のためのものもあり、官の役割縮小のためのものもあります。ここでは、それを目的別に分類したのです。もちろん、すべてがすっきりと分類できてはいません。
(環境の変化の分類)
日本に行政改革を迫る環境と、対応しなければならない役割の変化を整理すると、次のようになります。
環境の変化と役割の変化=改革を迫るもの
(1)日本社会の成熟
① 右肩上がりの終了
→財政再建、行政改革(狭義)
② 発展途上国の終了
→官の役割縮小、国から地方へ、官から民へ、事前調整から事後監視へ
(2)世界の進化に合わせる
① 国際化への対応
→国際規格への適応
② 新自由主義的改革
→規制改革、市場の活性化
③ 行政の管理運営改善(民主主義の補完)
→官の独占を止める、公開と参加
Ⅱ 日本の構造改革の分類
「省庁改革の現場から」p218では、日本が取り組んでいる改革を、次のように分類しました。これは、対象別、領域別の分類です。
1 社会経済システムの改革
(1)税財政等(財政構造改革、税制改革、社会保障制度改革)
(2)社会システム(地方分権改革、司法制度改革、規制改革、教育改革、金融制度改革)
2 政治・行政の改革
(1)政治改革
① 政治制度(選挙制度改革)
② 政治主導(内閣機能の強化、副大臣・政務官の新設)
(2)行政改革
① 組織改革・縦割り是正(省庁改革)
② スリム化(局・課の削減、定員削減、審議会整理、独立行政法人化、特殊法人改革)
③ 透明化(政策評価、パブリックコメント、情報公開)
④ 公務員(公務員制度改革)
(2007年2月19日、24日)
構造改革の体系図を新しくしました。
元の表は、「省庁改革の現場から」p218です。(2011年1月9日)
「構造改革の体系図」2010.12.9kouzoukaikautaikei.doc
Ⅲ 行政の分類については「行政の分類」へ。
拙稿『行政改革の現在位置」
北海道大学公共政策大学院の年報『公共政策学』に、拙稿「行政改革の現在位置~その進化と課題」が載りました。PDFで、読むこともできます。抜き刷りも送っていただいたので、関係者に送る準備をしているのですが。インターネットでも読めるのは、便利なものですね。宮脇淳先生から執筆依頼を受け、長年温めていたテーマを論文にしました。
1990年代以降の行政改革を整理し、範囲と目的が広がってきたことを論じました。この20年間に、様々なそして大きな行政改革が行われました。それらの改革がなぜ行われたか、その社会経済的背景を述べるとともに、それらを「小さな政府・財政再建」「官の役割変更・経済活性化」「ガバナンス改革」の3つに分類しました。近年の行革は、スリム化だけではないというのが、一つの論点です。いろいろ試行錯誤した結果、このような分類にたどり着きました。この分類が成功していると、嬉しいのですが。
また、第一次臨調と第二次臨調は全体像が明確であったのに対し、これらの改革は全体を統括することなく進められたというのが、私の主張です。
先行研究を探したのですが、ぴったりするものを、見つけることができませんでした。官僚の知人たちや、八代尚宏先生にも助言をいただき、完成させました。ご関心ある方はお読みいただき、批判をいただけると幸いです。
もう少し書きたいこともあったのですが、分量が多くなって、断念しました。次の機会に補足します。
仕事がはかどる日
今日は、昭和の日で休日。職場には、上司や関係者からかかってくる電話も少なく、仕事がはかどりました。毎日入ってくる課題や読まなければならない資料の方が、片付けることのできる課題より多く、未処理の仕事や資料が蓄積されます。土日は、それを片付ける良い時間なのですが、先週は出張だったので、たくさんたまっていたのです。
目を通せばよい資料は、どんどん片付きます。しかし、課題の方は、指示書を書いて職員に渡せば片付くものばかりではなく、じっくりと考えなければならないものもあり、今日だけでは処理しきれませんでした。
国会が開いていることもあり、職員も何人かは、出勤しています。外から電話がかかってきて、「××さんは、今日は当番で休んでいます」と答える職員がいました。「当番で休んでいます」???
すみません、休みの取れない仕事をさせて。