男女雇用機会均等法25年

3月10日の朝日新聞オピニオン欄が、「女たちの25年」として、男女雇用機会均等法施行25年を取り上げていました。まだ25年なのですね。
岩田喜美枝さんは、次のように述べておられます。
・・男女でまったく別だった雇用管理、二分化されていた女性の雇用管理がだんだんと一本化され、短時間勤務だとか、勤務時間の柔軟な選択だとか、多様な働き方を認める制度とともに、女性がどんどん活躍するようになったことは感慨を覚えます。
でも、この25年間でほとんど変わっていないこと、むしろ悪化したことが目について、均等法にかかわった私としては情けない、という気持ちにもなります。
ほとんど変わらないこと。それは女性が育児をきっかけに仕事を辞めてしまうことです。・・むしろ悪化したこと。それは、非正規労働者が増えたことです。働く女性の5割以上が非正規で、男女の賃金格差がまだ大きい原因でもあります・・

東北大地震

昨日11日午後、東北地方を中心に、巨大地震が発生しました。規模といい被害といい、かつて無い大きさです。その大きさに、呆然とします。犠牲になられた方にお悔やみを申し上げるとともに、行方不明者の早い救出、応急と復旧対策を期待します。

発生時、自治大学校では、第1部課程は課題研究発表を終え、教官による講評の最中でした。大きな揺れが長く続いたので、これは通常の地震でないと直感しました。直ちに出入り口を開放し、テレビニュースの第一報を見て、授業を中断。第2部課程の班別自主研究も中断させ、寮での待機にしました。大学校の施設は7年前にできたもので、耐震強度は強くしてあります。隣が、防災基地です。防火扉が自動で閉まり、エレベータが緊急停止。閉じこめられた人はいませんでしたが、この復旧には専門家を呼ぶ必要があります。

東京地方は物理的被害は少ないようなので、夜には鉄道が動くだろうと見込みました。しかし、日没後、JRがその日のうちの運転再開を断念。そのニュースが伝わると、「帰宅難民」が思い浮かびました。都心の人たちはどうなるのか。毎日の満員電車を見ていると、その数は膨大なものです。また、電車通学の小中学生のことが、心配になります。私も難民の仲間入りです。そうなると、泊まり込みと覚悟を決めて、まずは晩飯。
立川駅は乗降客数が多いので、どうなるのかと心配していました。後で聞くと、駅前のホテルは、すぐに満員になったそうです。市役所の対応は素早かったです。自治大学校にも、帰宅難民を受け入れることが可能かの問い合わせがあり、講堂などを開放できることをお伝えしました。玄関を開け、電気をつけ、トイレにペーパーを補給したり、誘導の紙を貼ったりして準備をしました。
市役所は、立川駅前の大勢の人を、近くの公共施設やホテルのロビーに収容し、10時頃には駅には、人だかりはなくなったそうです。当校は駅から1.5キロ離れていることもあり、来られた方はいませんでした。
帰宅難民対策にとっては、首都直下型地震などの、訓練になったと思います。交通機関が止まるというのは、大都市では大変なことです。これに、電気ガス水道が止まると、影響は大きいです。

テレビでは、津波が街や田畑を飲み込む様子が、生々しく映っていました。津波の恐ろしさがわかります。集落全体が飲み込まれた地区もあるようです。早い救出と復旧がなされることを祈っています。

自治大学校政策課題研究発表

今日10日と明日11日は、自治大学校第1部課程の「政策課題研究発表会」です。4~5人の班で、5か月間に研究した政策提言を、みんなの前で発表します。15分の発表の後、同僚の研修生の他、大森弥東大名誉教授、宮島勝東工大名誉教授、本学で講師を勤めていただいている先生からの、厳しい質問が待っています。
この演習は、自治大学校の「ウリ」の一つです。かつての研修は、高名な先生から最新最高の授業を受け、それを覚えることでした。しかし、今や課題は、地元から発生します。それを自分たちで考えて、解決しなければなりません。
今日のテーマは、博物館の評価手法、人材活用、太陽光発電普及、年寄りの安全など、地域に密着した課題の研究でした。それぞれ、苦労の跡が、うかがえます。当初考えていたテーマでは結論が導けないとか、既に先行事例があったなど。正直に「議論の過程で、班が分裂しそうになりました」と述べる班もありました。でも、その過程が、この研修の狙いなですよ。

組織を考える視点・その2

昨日の続きです。
(継承と変革)
最近、組織の設計と管理を考える時に、もう一つ重要な切り口があることに気づきました。それは、継承と変革です。
職員は、決められたことを実行しなければなりません。上司の命令、規則や法令に違反して、勝手なことをしてはいけません。しかし、現場でそれら規則に合わない事態が起きたときや、社会が変化してこれまでのやり方ではうまくいかない場合に、仕事のやり方や仕事そのものを変えていく必要があります。
そのために、組織論として、組織の中に、継承と変革の仕組みを組み込んでおくことが必要ではないかということです。

経営者が交代することで、変わる場合もあります。例えば、社長の交代、政権や首長の交代です。しかし、それは外部からの指示であり、たぶん大きな方針変更でしょう。そうではなく、現場での執行段階での変革の仕組み、組織内部での変革の仕組みが必要だということです。
「官僚機構とは、命じられたことを実行する仕組みである」と定義づければ、組織と職員による自らの改革は不要でしょうが、私はそうではないと考えています。

この場合も、組織と人との二つがあるのでしょう。
人の場合は、職員が改革意識を持っているかどうかです。幹部とともに、一般職員にその意識をどう植え付けるかが、課題になります。各職員の改革意欲であり、組織の文化・DNAです。しかし、これは人の意識に左右されるという欠点があります。

組織に着目すると、改革を担う部署を組み込んでおくということです。従来通りのことを続けていては、発展はありません。民間企業の場合は競争があるので、新しい製品を考えたり、業務の効率化を考えることが、組み込まれていることが多いのではないでしょうか。そのような部署とともに、カイゼン運動があります。
行政機関の場合に、どう設計するかです。これまでは、自らの予算や組織を大きくすることは、得意でした。事業の拡大ではなく、新しい問題を拾い上げること、今やっているやり方を変えること、場合によっては縮小することもです。この場合も、各人や各部署が、てんで勝手に好きなことをしては、収拾がつかなくなります。しかし、統制だけでは新しい変化は生まれません。かつて書いたように、秩序と混乱、維持と発展のバランスをどう取るかになります。

組織を考える視点・その1

会社にしろ、国家行政機構や地方自治体にしろ、組織の目的は与えられた課題をいかによく果たすかです。最小の経費で最大の利益をあげることであり、国民や住民が求めることを効率的に実行することです。評価の基準は、そのアウトプットでしょう。
それを達成するために、どのように組織を編成し、権限と資源(人や金)を分配するか。組織論、経営論、管理論、指導者論は、古くから関係者の大きな関心です。その切り口について、少し考えました。

(集中と分散)
その一つの切り口として、集中と分散があります。集権と分権、管理と自由、と言っても良いでしょう。
本社と支社、社長室と各事業部との間で、どこまで後者に仕事や権限を渡すかです。場合によっては、分社することもあります。すると、親会社と子会社との間にも、この問題は発生します。
軍隊にあっては、参謀本部と各部隊との間が、国家統治にあっては、中央政府と地方政府との間が、重要な課題になります。この問題は、組織が大きくなればなるほど、重要になります。官僚制は、仕事を分割することですから、その統合が必ず問題になります。
また、このような組織の間だけでなく、社長と部長の間、課長と部下との間というように、職員の間の集中と分散があります。ワンマンか、部下に任せる上司かです。こちらのほうは、分担をどう設計するかという問題もありますが、人間関係論に近くなります。

私は、仕事をする中で、長くこの問題を考えていました(例えば「システム思考、分割と統合」2010年3月18日、「部分と全体」2010年5月10日の記述)。
課長や部長としては、部下との分担をどうするか。どう振る舞うべきか。総務部長としては、県庁内での分担をどうするか。この場合は、知事と部下の関係と、県庁内の組織間の関係の二つがあります。省庁改革本部では、内閣と各府省との組織間の分担を勉強しました。官邸では、事案の分担(総理、官房長官、各大臣との間など)を勉強させてもらいました。そして、地方分権は、中央政府と地方政府との分担です。

このように、ここには、制度をどう仕組むかという組織・制度問題と、個別の事案にどう役割分担するかという運用・人の問題があります。なかなか考えはまとまらないのですが、いずれ考えを整理したいと考えています(いつのことになるやら)。(この項続く)