大学院の公共経営論で、「大きな政府・小さな政府」を話しました。論点はいくつもあるのですが、今日紹介するのは、市役所の窓口サービスについてです。これまで私たちは、より手厚いサービスを、そして最近ではより安いコストで提供することを目指してきました。
数年前、ある議員にお叱りを受けました。次のような話しです。
議員:岡本さん、市役所に行ったら、朝の忙しい時間だったけど、待たずに窓口で対応してもらったよ。
全:それは、サービスが良かったですね。褒めてやってください。
議員:違う。あれではダメだよ。
全:???
議員:今どき、銀行でも番号札を取って待つ。待たなくても良い窓口は、職員が多すぎるということだ。少しくらい待ってもらって、良いじゃないか。
全:おっしゃる通りです。
このような意識が広がってくれると、行政もやり易く、コスト削減もできます。市民が行政コストを意識し、それは自分の税金で行われているのだと考えてくれれば。
市民による行政への協力の例に、ごみ出しがあります。毎日、分別せずにごみを出すと、便利でしょう。しかし、毎日集めるコストや、集めてから分別するコストを考えると、市民の協力は大きな費用削減になっています。一方で、急ぎでないのに、救急車を呼ぶ人がいます。それは、市民の負担になっています。余計な負担をさせられる人からは、批判が出るでしょう。
道路を清掃したり、花壇を手入れする例を取り上げましょう。市役所が直営する場合、民間委託をして経費削減する場合。さらに、町内会にお願いする場合、住民がそれぞれ家の前をきれいにする場合があります。不満を言っておればよい立場から、自ら汗を流す立場へです。