国際社会での国家の力を、もう一度考えてみました。
よく言われるのが、軍事力や経済力です。しかし、相手の国を動かすことについては、これにとどまらず、もっと広く考えるべきです。有名なところでは、ジョセフ・ナイのハードパワーとソフトパワーや、スーザン・ストレンジの関係的権力と構造的権力という考えがあります。これについては、かつて書いたことがあります。
次のように整理してはどうでしょうか。まず、国家間の力(パワー)を、相手の国を(こちらの都合のよいように)動かす力とします。もう一つは、相手の国から「攻撃」されても耐えられる力、左右されない能力です。後者が忘れられる時があります。しかし、日本の自衛隊は専守防衛ですから、相手を動かす力ではなく、相手に動かされない力です。あるいは、相手を動かさない力です。
さて、前者の動かす力には、1武力、2経済力(生産力、金融力、技術力など)、3文化力(相手の国にあこがれられる文化)、4ルール設定力などがあります。ソフトパワーは、3に当たります。構造的権力は、4に当たります。
後者の動かされない力には、1防衛力、2(自立できる)経済力、3(自立できる)文化力があります。
このほかに、国家を政府と置き換えれば、政府の強さとしては、企業や市場に対する国家の強さ、災害に対する強さ、国民の信頼への強さなどもあります。