もう、10月が終わります。早いですねえ。あっという間に、1か月が経ちました。どうしてだろうと、振り返ってみました。
自治大学校は秋学期が始まり、忙しくなりました。来年度に向けて、研修内容を見直すために、企画会議が続いています。毎週、日本大学大学院のほかに、慶応大学での授業あります。この準備も結構かかります。さらに講演などにも呼ばれました。執筆の方は、連載のほかにいくつか引き受けたものがあり、終わりのない戦いを続けています(笑い)。結婚式やいくつも懇親会もありました。手帳を見ると、10月はちゃんと31日あったのですね(苦笑)。
ついこの間まで、猛暑だとぼやいていたのが、コートを着る季節になりました。11月は出張なども入っています。さらに、あの年賀状の季節が来ます。もう少しゆとりある暮らしができると、思っていたのですが。自分で忙しくしているのですね。困ったものです。
月別アーカイブ: 2010年10月
貸し出し機能の衰えた銀行
31日の日経新聞「検証、ニッポンこの20年。長期停滞から何を学ぶか」は、「衰えた金融機能。破綻懸念遠のき、革新怠る」でした。
1990年代、巨額の不良債権処理のためと金融ビッグバンに備え、大手金融機関の淘汰と再編が続きました。これで一部の銀行と証券会社を除き、金融機関は 破綻を免れたのですが、記事では、その後、金融機関の資金仲介機能は低下したと指摘しています。
すなわち、1999年には、国内銀行の預金と貸出金がともに490兆円前後で均衡していたのが、5年後には預金が6%増えたのに、貸出金は17%も減って います。そして、国債保有額が44兆円から102兆円に膨らんでいます。民間企業に回るべきお金が、国や地方団体の赤字を支える方に回ったのです。
・・巨大化や公的資金の注入で破綻の懸念が遠のき、預金が銀行に集まりやすくなった。その半面、お金を将来性のある企業に貸し出す技量を銀行が磨くことは なかった。資産運用など直接金融にかかわる部門を思い切って拡充するなどの改革も不十分だった・・と記事は述べています。
川北稔、イギリス近代史講義
川北稔著『イギリス近代史講義』(2010年、講談社現代新書)が、面白かったです。イギリスが最初に産業革命に成功し、そして衰退した歴史を、社会史と世界システム論から論じておられます。そのために、世界に先駆けたロンドンの都市化から書き始めます。産業革命・工業化は、供給側の事情だけでなく、それ以上に需要側の要素が大きかったことを、指摘されます。新書版で、読みやすいです。
かつてこのホームページで、アンドリュー・ローゼン著「現代イギリス社会史、1950-2000」(2005年6月邦訳、岩波書店)を紹介しました(2005年8月20日の記事)。これも、川北先生の翻訳でした。学校で習う歴史は、政治史と「出来事史」が中心です。しかし、社会と歴史を動かしているのは、政治家ではないと思います。国民の暮らし、生産と消費、労働と生活、人間関係がずっと大きな要素だと思うのですが。それらの条件と変化の上に、企業家や政治家の判断の余地があるのでしょう。政治史や出来事史は年表に書きやすいのですが、社会の変化は書きにくいのです。
フランスの歴史学者フェルナン・ブローデルは、歴史を3つの時間に分けて考えることを提唱しました。一つ目は、ゆっくりと変化する人間を取り囲む環境と人間との関係の歴史。これは、構造的な長い時間です。二つ目は、社会史という、変動局面の中くらいの時間。3つめは、出来事の歴史という、短い時間です。拙著『新地方自治入門』でも紹介しました。
日本の歴史特に庶民の歴史を大きく分けると、皆さんはどのように分けますか。私は、3つに区切るとするなら、縄文時代、弥生時代とその後、そして高度経済成長期以降に分けるのが、わかりやすいと考えています。第1期は狩猟と採集経済の時代。第2期は稲作の時代(1950年頃まで、多くの日本人は農業で生きていました)。第3期は工業の時代です。この生産と生活の仕組みが、日本人の個人、家庭、社会の暮らしを規定したと考えるからです。
戦後の経済成長は、農村から都市へ、農作業からサラリーマンへ、村での暮らしから会社勤めへと、大きく私たちの暮らしを変えました。平安時代の農民が明治時代の田舎の村にタイムスリップしても、暮らしていけると思います。村の中で稲作ですから。しかし、平成時代の都市に来たら、とても困ると思います。明治維新も戦後改革も、日本のかたちを大きく変えました。しかし、地方の庶民の暮らしは、それよりも経済成長で変わったと考えるからです。
自治大学校、卒後研修
今日は、自治大学校の卒業後研修と、同窓会(学友会)総会がありました。卒業後研修は、昨年度卒業した研修生が対象です。約1,000人の卒業生のうち、600人が参加しました。自治大学校の卒業生は、結束が堅いので有名です。全国から集まった仲間が、6か月、3か月、3週間の寮生活を送ります。班別演習など、共同作業も多いです。そこで友情が固くなるようです。今日も会場入り口で、「や~」とか「久しぶり・・」という歓声が沸いていました。それぞれに出世し、活躍しておられます。ありがたいことです。
来年度の研修に向けて、さらに研修内容を充実=役に立つものにしなければならないと、考えました。
一橋政策大学院で講義
今日は、一橋大学政策大学院に呼ばれて、公共政策セミナーで講義。最近、もう一度勉強しなおしている行政改革の分類と変化について、お話ししました。院生にとっては、聞いたことがない内容だったと思います。皆さん熱心に聞いてくれました。
一橋の院にはかつて2年、講義に行ったことがあります。その講義などを基にして、「行政構造改革」を書いていたのですが、途中で挫折しています。