本間さんの自主授業

自治大学校、本間研究部長の自主講座、「マイケル・サンデルを読む」が終わったとのことです。「このような機会がなければ、読まなかったでしょう」という、学生さんの意見がありました。なるほどね、と思います。
それにしても、本間部長のバイタリティーと読書の範囲には、脱帽です。「孤独なボーリング」って、見ただけで手を引っ込めるぐらいの分厚さですよ。私も、社会関係資本の勉強に買いましたが、読まずに本棚に飾ってあります。忙しい本業と主婦と子育てとをこなして、その上にこれだけの本を読む。すごいね。

人類の繁栄、地球からの収奪

9月24日朝日新聞、連載「いきものがたり」は、人類の現代の繁栄が、いかに自然を「収奪」しているかを、数字で示していました。
2010年の人口は69億人、これは1970年の約2倍です。2050年には91億人になります。穀物需要は22億トンで、1970年の2倍です。人口がこの40年間で2倍になったのですから、当然です。食糧増産のために、灌漑耕地面積が、1970年の1億7千万ヘクタールから、2008年には3億ヘクタールになりました。取水量は、2010年で4,400立方キロで、20世紀初頭の8倍だそうです。湖や川から、水がなくなっています。
1965年のエネルギー消費は、原油換算で40億トン。2008年には110億トンです。50年間で、約3倍になっています。

消防大学校学友会報

消防大学校の同窓会誌「学友会報」2010年9月号に、拙稿「最高の教育訓練のために-学生の負担が増え学生が喜ぶ授業」が載りました。すでに消防大学校長はやめているので、載せるのはいかがなものかとも思いました。しかし、私が考える消防大学校の授業のあり方を書いておき、関係者の議論に供したいと考えました。
内容は、副題の通りです。座って一流の講師の話を聞くだけでなく、学生が自分たちで考え、話し、身体を動かす授業を重点にすること。卒業式で、学生たちが感激で涙を流す授業が、目標です。

慶應義塾大学2010年秋

再び、慶應義塾大学法学部に、教えに行くことになりました。2010年秋学期、水曜日第4限、地方自治論Ⅱです。地方自治論Ⅰにおいて自治の仕組みを講義されていて、Ⅱは地方税財政論です。

(構成)
地方税財政を、3つの角度から解説します。
第1部は、地方自治体の仕事とそれを支える財政がどうなっているか、具体的な例を説明します。現場の地方行財政です。日本では国民への行政サービスの多くが、地方自治体によって担われています。そして、世界最高水準のサービスを、全国で一律に提供しています。
第2部は、地方行財政の仕組みを説明します。日本の地方自治体の税財政制度は、法律によって枠組みが決まっていること、そして国による誘導と地方団体間の調整が行われていることに、特徴があります。これが、全国で均一な行政サービスを達成できた理由です。
第3部は、地方行政と地方自治体が抱えている課題と、それに対しどのような改革が取り組まれているかを解説します。

(授業計画)
第1部 市役所の仕事と財政
第1章 自治体の財政
1 市の仕事と財政
2 多様な自治体
第2章 国家財政と地方財政
1 会計と予算
2 国と地方の仕事の分担
3 日本経済の中の財政

第2部 地方財政制度
第3章 地方税、その他の収入
1 地方自治体の収入
2 地方税
3 地方自治体の自主性
第4章 地方債
1 地方債の機能
2 発行制限の手続
3 どこから借りるか
第5章 国と地方の財政関係
1 国の予算と地方財政計画
2 地方財政対策
3 税の配分と仕事の配分
第6章 財政調整制度
1 地方自治体間の税源偏在と調整
2 地方交付税の算定
3 地方交付税の機能
第7章 公営企業など
1 公営企業
2 第3セクターなど
3 地方自治体のサービス提供手法
第8章 開示と分析
1 財務の開示と分析
2 地方財政健全化法

第3部 課題
第9章 財政の分権、自立、自律
1 国からの分権
2 住民による自治
第10章 財政再建
1 国家財政と地方財政の赤字
2 国際比較
3 経済と社会への影響
第11章 市民の期待に応える
1 市役所の2つの課題・地域経営と組織経営
2 地方行革
3 市民の期待に応える

(授業予定)
9月29日 講義のあらまし、第1章自治体の財政
10月6日 第1章続き、第2章国家財政と地方財政
10月13日 (休講)
10月20日 第2章続き、第3章地方税、その他の収入
10月27日 第3章続き、第4章地方債
11月10日 (休講)
11月17日 第5章国と地方の財政関係
11月24日 (大学休み)
12月1日 第6章財政調整制度
12月8日 第6章続き、第7章公営企業など
12月15日 第7章続き、第8章開示と分析
12月22日 第9章財政の分権、自立、自律、第10章財政再建
1月12日 第10章続き
1月19日 第11章市民の期待に応える
1月26日 試験

(配付資料)
レジュメや資料は、講義の進行に合わせて配付します。教室の後ろに置くので、各自取ってください。欠席者のために、次回も並べます。2回続けて欠席する学生は、知人に頼んで、もらってください。
レジュメ:p1~4(9月29日)、p5~6(10月6日)、p7~11(10月20日)、p12~14(10月27日)、p15~18(11月17日)、p19~23(12月1日)、p24~27(12月8日)、p28~30(12月15日)、p31(12月22日)、p32~34(1月12日)
資料:「講師略歴」、資料1-1(9月29日)、資料1-2~資料1-7(10月6日)、資料3-1~3-4(10月20日)、資料3-5、3-6(10月27日)、資料5-1、5-2(11月17日)、資料6-1~6-7(12月1日)、資料7-1~7-4(12月8日)、資料8-1~8-3、資料9-1、9-2(12月15日)、資料10-1~10-9(12月22日)、資料10-10(1月12日)、資料11-1(1月19日)
パンフレット:「相模原市予算事始」(9月29日)

地域の問題、人と人とのルールづくり

9月25日の朝日新聞オピニオン欄は、「バーベキューは迷惑か」でした。川崎市の多摩川河川敷での問題です。春から秋にかけて、土曜日曜は大勢のバーベキュー客で、「花見の公園」状態だそうです。楽しんでいる人はよいのですが、問題は大量のごみと騒音。音響機器とロケット花火もすごいそうです。花火は朝まで鳴っていることも。夕方からは、お酒が入って、物を壊す、吐く、便をする・・、地元民にとっては、たまったものではありません。そこで、有料化への社会実験を始めました。
このような地域の問題を、どう解決するか。地域コミュニティと自治体の力が、試されます。3人の方の意見が、紹介されています。ご覧下さい。
地域の課題は、国から来るのではなく、地域から発生する。そしてそれは、お金をかければ解決できるものではない。コンクリートやモノの問題ではなく、人と人との関係である。私が長年主張していることの、一例です。