(ドイツの政治)
日経新聞連載「ドイツの未来図」9月30日の記事から。
・・9月14日、連邦議会(下院)でショイブレ財務相は、信念のように繰り返した。「ドイツは正しい道筋を歩んでいる」
2011年予算案などに航空会社や電力会社への増税策を盛り込んだ。政権公約の所得減税も凍結。ドイツ産業界の猛反発や、欧州域外での「景気に響く」との懸念は意に介さない。
5月、荒れた市場への対抗措置も強硬策だった。国債の空売り規制の強化へ、法案概要を銀行協会など約50カ所に電子メールで一斉送信。金融市場で反対論が巻き起こっても「池の水を抜くのに、何で池に住むカエルの意見を聞かなくちゃならんのだ」と黙殺した・・いつも目先より将来に目を向け、国家の「持続可能性」を意識していると自認する。
・・「社会的市場経済は世界のモデルケース」とメルケル首相が力を込めるほど、自らの経済制度に自信を持つ。経済学者オイケンの提唱に基づいて、1950年代にエアハルト経済相が確立した思想は、市場原理を尊重しつつ、政府が「経済秩序」の枠組みづくりを担うと位置づけた。それを東西統一後も、主要政党は尊重。「市場の暴走」への政府介入を当然視する・・