まだまだ知らない隣国

韓国の躍進が素晴らしく、いろんな分野で日本が負けるようになりました。それによって、徐々にですが、韓国についての報道も増えてきました。9月2日の朝日新聞オピニオン欄は、「走る韓国」という特集を組んでいました。興味深いことが、いくつも紹介されていました。
韓国の人口は、4,800万人。日本の約4割です。国内市場が小さいので、海外へ出て行く戦略です。金美徳教授は、日本企業はモノ作り指向経営であるのに対し、韓国企業はマーケティング指向経営であると指摘しておられます。それが、海外市場で勝った理由の一つです。大学進学率は80%を超え、教育への投資や競争も激しいです。1997年のアジア通貨危機で、GDPが4割も減った経験が、競争を激しくしたのでしょう。
一方、負の面も指摘されています。出生率は世界最低水準で、国民皆年金になったのは1999年だそうです。競争が激しいので、一流企業でも失敗すればすぐ解雇、社内競争に敗れた人も次々退社するので、事実上50歳代前半が定年とのこと。

私たちは、これまで近隣諸国のことを、知らなさすぎました。世界史で西欧の歴史上の人物はたくさん習いますが、アジアの人物はほとんど知りません。アメリカ人やイギリス人なら10人くらいすぐ名前を挙げられますが、韓国人を10人挙げることができる人は少ないのではないでしょうか。
最新の事情を勉強する際も、欧米中心でした。しかし、今やアジアが日本と同等の経済発展をしつつあります。しかも、いくつもの分野で、日本を追い抜いています。もっと、現在のアジアを勉強すべきでしょう。
行政の分野でも、日本と韓国は比較が簡単な国同士です。省庁再編も、日本より後に着手して、日本より先に実行しました。行政の電子化も、韓国の方が進んでいます。

先日から、少し調べていることがあります。韓国の公務員削減です。1997年に経済危機になったこと、金大中大統領になったことを契機に、中央政府と地方政府の大胆な人員削減を行いました。正確なところはわからないのですが、何人かの人に聞くと、教育職と公安職を除き、約1割の削減をしたようです。もちろん、韓国にも公務員の身分保障はあります。しかし、GPPが4割も減るという非常事態で、それも言っておられなくなったようです。「中核的一般職は解雇されなかった」という話もありますが、ある人に聞くと、組織ごとに削減人数が決められ、解雇される人が指名されたとのことです。「職場は暗くなった」とおっしゃっていました。年齢の高い人は解雇された後、復職せずほかの職業に就いていると、おっしゃっていました。
近くても、知らないことが多いです。