見込み違い

9日の朝日新聞環境欄が、ごみの管路収集を取り上げていました。管路収集とは、地下に張り巡らせたパイプを使い、街中のごみを真空ポンプで集める仕組みです。例えば、東京のお台場では、内径60センチ、延長15キロの管の中を、ごみが時速90キロで飛び交うのだそうです。
こうすることで、朝のゴミ出しが不要になり、収集車も要らなくなる、きれいで便利になると、期待されました。「未来都市」の「夢のごみ収集」と呼ばれたのです。
ところが現在は、お台場では、一日300トンを集める能力がありながら、使われているのは11トンです。その他の地域でも、同じようです。順次、廃止されているようです。
なぜ、こうなったか。資源ごみの分別回収が普及して、捨てられるごみの量が減ったのです。また、この仕組みだと、ごみが目に見えなくなり、分別が進まなかったとの批判もあります。よかれと思って企画したのですが、失敗に終わりました。
人間の知恵とは、この程度のもの。担当者は、悪気があって事業を進めたのではないのでしょう。負の影響や時代の進展を予測するのは、難しいということです。「税金の無駄遣い」と批判されそうですが、新しい技術の導入には、失敗もあります。