職場のうつ病

少し古くなりましたが、7月27日の朝日新聞オピニオン欄が、うつ病対策を特集していました。多くの職場で、うつ病は最も大きな問題の一つになっている、のではないでしょうか。私も職場で、部下や同僚がなった経験があります。対処方法は大学では教えてもらわなかったので、人事担当者、先輩、専門家のアドバイスをもらいました。
消防大学校の幹部科には、職場のメンタルヘルスという講義を取り入れ、専門家に講義してもらっています。管理職には、必要不可欠な知識になりました。かつて「心の風邪だ」と聞きましたが、風邪のようには簡単に治らない場合も多いです。
記事によると、うつ病で医療機関に通う人は、躁うつ病なども含めると100万人を超え、ここ10年で倍増しました。病気だという世間の認識が拡がり、治らない患者も増えているからだそうです。生涯で15人に1人がなり、若者の発症割合は12人に1人と高齢者より高いのです。社会的損失は年間2兆円を超えるという試算もあります。しかし、まだ精神科医も少なく、診断基準や治療法も十分でないようです。
うつ病患者が出やすい職場は、あいさつがない、隣同士でもメールでやりとりする、職場を離れた付き合いがないなど、人間関係が疎遠なようです。雰囲気が明るく結束の強い職場ではうつ病になりにくく、業績も上がる傾向にあるとのことです。

企業の国際展開

7月31日の日経新聞が、日本企業の国際展開に従って、海外での資産・従業員・利益が増えていることを伝えていました。それによると、有力660社の資産のうち、海外が占める割合が34%と、3分の1を超えました。海外での現地生産を増やしたり、企業を買収しているからです。
化粧品の資生堂は、海外資産比率が50%を超えました。日産自動車は、海外従業員が国内従業員の数を上回りました。メガネレンズなどで有名なHOYAと電子材料のTDKは、従業員の海外比率が9割近くになっています。海外での営業利益が国内を上回った企業は、245社だそうです。
製品を輸出するだけの時代は終わりました。国内市場を相手にしていては、発展しません。
かつてバブルの時に、強い円を背景に、巨額な海外資産(ホテル、ビル、企業など)を買いましたが、多くは投資に失敗しました。それについては、7月31日付けの朝日新聞オピニオン欄で、スティーブ・ギブンズ教授が過去の失敗例と、今回の懸念を書いておられます。日本が海外展開成功したのは、商品そのものが価値を持つ工業製品であって、サービスやマーケティングが付加価値の大部分を占める「ソフトな商品」(金融や飲料)はまだ成功していないこと。非製造業を対象としたM&A(企業買収)は、ソニーによるコロンビア映画の買収、三菱地所によるロックフェラーセンターの獲得の失敗例があることなどです。
先駆的な試みには、失敗がつきものです。その教訓を生かして、今回の海外展開が、着実に成功して欲しいです。