24日の読売新聞「地球を読む」は、佐々木毅先生の「政治と市場」でした。
・・市場と政治の関係が、再び大きな関心を集めている。われわれの脳裏には、10年前のアジア・ロシアの金融危機と日本の金融機関の相次ぐ破綻の記憶が鮮明に残っている。
・・市場メカニズムが穏やかな下では、政治はグローバル化の旗振り役をしていればすむが、荒々しい調整が始まると、その力量と限界がとことん試されることになる。今、われわれは明らかに、この厳しい試練の時期にある。
・・政治の議論としては、二つの問題を区別する必要がある。第一は、荒れるグローバル市場を沈静化させ、安定的な経済成長の環境を回復するための、国際的な協調の仕組みを作れるかという問題である・・
第二は、こうした国際環境の整備がどうなるにしろ、日本政府が何をすべきなのかという問題である。この数年、政府は物価の安定と好調な国際経済に専ら寄りかかってきたが、今やこの条件はすっかり消失してしまった。
・・政府に危機感があるかといえば、国民に伝わってくるのは、政府の無力感ではなかろうか。この国では、「官から民へ」というのは、官民相互の無関心を助長する傾向があったが、物価の上昇が顕著になり始めたにもかかわらず、唯一最大の政治課題は相も変わらず消費税問題という発想は、この病理現象の現れではないか・・