今日の消防大学校では、火災調査科で、模擬家屋を燃やしました。年に2回あります(前回は、2009年11月4日)。例によって、大きな体育館のような施設で、失火の仕掛けをして燃やします。適度に燃えたところで消火し、明日、学生たちが原因調査をします。
一方、校庭では、警防科が指揮訓練です。今日は晴れて暑くなり、出動の服装をしてヘルメットをかぶった学生は、さぞかし暑かったと思います。
月別アーカイブ: 2010年6月
医療制度見直し・借金のつけ回し
消防大学校のPR
4か月ほど前に書いた拙稿を、インターネットで読むことができることを知りました。消防庁が出している広報誌「消防の動き」2010年3月号の巻頭言、「学生の緊張と感激―教育水準を保つ工夫―」です。消防大学校のPRです。
新聞の使命
鈴木伸元著『新聞消滅大国アメリカ』(2010年、幻冬舎新書)を読みました。先日の、インターネットがジャーナリズムを壊しているという、問題関心からです。本の内容は主に、アメリカの新聞社が次々と消えていっているという報告です。読むと、実態はすさまじいものです。日本とは、広告収入と購読料の割合などが違いますから、そのまま日本には当てはまらないとしても、大変な事態です。
私は、新聞はすべてが正しいとは決して思いませんが、その欠点の分を差し引いても、新聞は民主主義国家において不可欠の公共財だと思います。先日の記事でも書きましたが、インターネットの検索サイトが無料で(広告収入で)もうけ、記事を提供している新聞社が赤字になるという構図は、長続きしません。検索サイトがこれからも儲けようとするなら、「寄生している宿主」である新聞社を、生きながらえさせる必要があります。宿主を殺す寄生虫は、実は弱い寄生虫です。
これは、ビジネスの方法=いわゆるビジネスモデル(これは日本語だそうです)を、考えさせる事態です。情報産業にあってはコンテンツをつくる企業とそれを売る企業、商品にあってはモノをつくる企業と売る企業の、どちらが儲けるかです。インターネット業界では、それぞれの業態をレイヤーと呼ぶそうです。百貨店が場所貸し業になって、自ら商品を売らず、ブランド店が場所を借りて自らの商品を売る仕組みになりました。これで場所貸し業の百貨店は、衰退しました。街の本屋さんは、委託販売で、あずかった本を並べ、売れた分だけ儲けます。この場合は、衰退しながらも生きながらえています。もっとも、専門書は大規模店舗やインターネット販売に負けて、雑誌販売で生き残っているという見方もあります。
また新聞には、ニュースの優先順位をつけてくれる機能があります。たくさんのニュースから、切り取ってくれる今日のニュース一覧は、大きな機能です。どのニュースでも見ることができるは、どれを見たらよいかわからないということです。このような機能は、評価されないのでしょうか。114
世論調査・日本の自画像
11日の朝日新聞が、「いまとこれから」という世論調査を載せていました。
今の日本がおかれた状況を登山にたとえると、「息が切れて、後続の人に追い抜かれていく」が62%、「足を痛めて先に進めない」が18%、「急な坂を懸命に登っている」が15%で、「快調に登っている」は1%です。
「日本に誇りをもっているか」については、75%の人がもっています。誇るものは、技術力が94%、アニメやゲームが68%、経済力は34%、教育水準は33%でしかありません。急速にイメージが変わっているように、思えます。
日本の自画像については、「勤勉である」が46%、「でない」が50%。「礼儀正しい」が45%で、「でない」が52%です。さらに「独創性がない」61%、「国際性がない」70%、「自立心がない」76%です。かなり悲観的ですね。
詳しくは記事を見ていただくとして、佐藤俊樹東大教授は次のように述べておられます。
・・調査結果からまずわかるのは、日本社会の自己像が不明確になったことだ。「顔」を失った日本、という感じだ。経済力や教育水準の高さは、戦後日本の代表的な「プラス面」だ。ところが、いずれも誇れると思わない人のほうが多い・・日本人の特徴についても、器用だが自立心は弱く、国際性にも欠ける、という答え。一言でいえば「ぱっとしない自分」だ。いまの若者によく見る自己像とも似ている・・
ただし、国民が見つめる自画像の多くは、マスコミが伝えた報道によるところも多いのですよね。「記事で誘導しておいて、世論調査で確認する」といったら、言いすぎでしょうか。