23日の朝日新聞夕刊「窓」は、坪井ゆづる論説委員の「憲法65条のふたり」でした。
・・(菅直人首相が所信表明演説で述べた松下圭一先生が)菅氏のかつての国会質問を「あれが分権のひとつの起点になった」とほめていたのを覚えている。
質疑は1996年の衆院予算委員会であった。菅氏は憲法65条「行政権は、内閣に属する」について、「この行政権の中に自治体の行政権も含まれるのか」とただした。内閣法制局長官は「含まれない」と答えた。新しい解釈だった。これでやっと明治以来の政府に対する自治体の「従属」が終わり、「対等」な関係へと切り替わった。そして分権改革がすすみ始める・・
この答弁と行政権が内閣と地方自治体に属することについては、拙著『新地方自治入門』p22で解説しました。さらに、日本の統治は、まず中央政府と地方政府に垂直に分立され、そして次に水平的に中央政府にあっては三権分立、地方政府にあっては二権分立になっていることは、同じくp276で図示して解説しました。
社会科の授業や憲法の解説で、「日本は三権分立」と教えられるので、地方自治体の位置付けや垂直的分立が、国民には十分理解されていません。