介護保険ができて10年になります。14日の朝日新聞オピニオン欄は、この間の事業量の変化をグラフにしていました。65歳以上の被保険者数は1.3倍に、要介護認定者数は2.2倍に、施設利用者数は1.6倍に、居宅サービスの利用者数はなんと3倍になっています。それに従い、費用総額は2.2倍の8兆円になりました。これだけ需要があるということです。必要な制度なのですね。もちろん、改善すべき点もあります。
月別アーカイブ: 2010年5月
公務員制度改革、挫折の歴史
岡本義朗氏の「公務員制度改革への期待と不安」が、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの季刊『政策・経営研究』2010年vol.2に載っています。岡本さんは、民間人から乞われて、国家公務員制度改革推進本部事務局次長を勤められた方です。論文では、これまでの公務員制度改革の歴史を振り返り、改革のポイントを整理した上で、なぜ実現しなかったかについて考察しておられます。良く整理できた論文だと思います。ご関心ある方は、ご一読ください。
2010.05.15
大学院の授業は、順調に第2章を進めています。私のリスクの分類に従って、先週は武力事態と災害対策を、今回は事故、犯罪、環境問題などについて、近年どのような対策がとられたかを話しました。改めて調べてみると、新しい課題ととられた対策の多さに驚きます。いずれ、皆さんにも読んでもらえる形にしたいと、考えています。連休中にかなり先まで準備しておいたので、余裕を持って講義ができます。今回講義する「新しい社会のリスク」は、私にとって初めての科目・内容です。初めての場合は、半年間の内容の割り振りや、配付資料の準備が大変なのです。
日本人論
11日の朝日新聞「舟橋洋一が聞く」は、シンガポールのリー・クアンユー元首相へのインタビューでした。リー首相は、ルック・イーストを掲げ、日本をお手本として国家の発展を進めた方です。アジアの指導者が、日本と世界の将来、そして日本がなすべきことを、どう考えているかを知ることは、大切なことだと思います。もちろん、外国人の話を盲目的にありがたがることは、私は反対です。しかし、外国の有識者の厳しい意見にも、耳を傾けるべきでしょう。
その点で、日本人は、日本人論が好きだという説があります。私は、「これまでの外国人による日本評、あるいは日本人による日本人論は、日本をほめて欲しい、日本だけが特殊だという説を補強するために利用されることが多かった」と考えています。アジア各国が経済的にテイクオフしない時、「日本だけが非白人国で経済発展に成功した」とほめて欲しかったのです。それは、日本人の自意識をくすぐります。だからこそ本が売れるのです。たぶん、これまで流行ったほどには、今後は日本人論は流行らないと思います。悲観論は流行るでしょうが、それは売れませんよね、よほど自虐的でないと。
自殺、12年連続3万人
警察庁が、昨年平成21年中の自殺者数を公表しました。各紙夕刊が伝えています。これで12年連続で、3万人を超えています。男性が7割、女性が3割です。年代別では、50代、60代、40代の順に多いです。自殺原因は、半数の人が健康問題、特にうつ病です。4分の1が経済・生活問題、8分の1が家庭問題です。
大きな社会問題ですが、人の心の問題であり、他人や社会との関係の問題なので、対策は難しいです。しかし、あれだけ大きな問題だった交通事故も、3分の1まで減らすことに成功しました。40年かかりましたが。