ハイゼンベルク著『部分と全体』(邦訳1974年、みすず書房)を読み終えました。著者は1901年ドイツ生まれの物理学者で、24歳で量子力学を創始し、不確定性原理を発見、ノーベル物理学賞を受賞しています。1976年に没。本の内容は、仲間の科学者との対話の形式をとった、自伝です。科学理論はこのような過程で究められるのかと、感激を覚えます。
部分と全体という問題そのものを、考察したものではありません。しかし、彼は自らの伝記に、このような表題をつけました。物理学だけでなく、哲学、音楽、宗教、政治とのかねあいまで、彼の関心は広いです。そして、常に部分と全体の在り方を考えていたのでしょう。随所に、関連する記述があります。
私には量子力学はわかりませんが、昔から本屋でこの表題が気になっていました。私の関心にあっては、部分と全体は、国家統治機構の部分と全体であり、行政組織の部分と全体の在り方です。国と地方の関係にあっては中央集権と地方分権であり、組織管理にあっては集中と分散です。このテーマは、私にとって一生の課題ですが、すべての組織にとって永遠の課題でしょう。
ところで、対話の相手に、カール・フリードリッヒ・フォン・ワイツェッカーという哲学者が出てきます。よく似た名前だなあと思って調べたら、ドイツ大統領になったリヒャルト・カール・フォン・ヴァイツゼッカーのお兄さんでした。