昨日書いた「介護保険制度10年」を読んで、当時厚生省で、介護保険制度創設に携わった知人から、便りを頂きました。
・・10年前、厚生省××で、施行前後の大作業の一部を担いました。本当に、よく新保険制度の創設というあれだけのプロジェクトが、大きな波乱なくスタートできたものだと思います。自治省の財源面の最大限のサポートがあってのことです。県と市町村も、当時この分野によい人材を投入し、がんばったのだと思います。 措置を脱したおかげで、大きな雇用を生みました。今や医療・福祉の雇用労働者は565万人で、建設労働者437万人を上回っています(平成20年)・・
ありがとうございます。
月別アーカイブ: 2010年4月
災害の映像アーカイブ
消防庁が、防災についての知識や、災害時にどう行動すべきかを学ぶことができる、ウエッブサイトを作っています。例えば、大地震を3日間生き延びる方法や、津波の時にどう行動すべきかなどです。子供から大人まで、市町村職員や消防団員までもが、勉強できるようになっています。
「防災・危機管理e-カレッジ」です。
今回、内容が追加され、また「災害の写真や映像」が掲載されました。災害の怖さや被害のひどさは、口でしゃべるより、絵で見た方がわかりやすいですよね。例えば阪神淡路大震災から15年経ち、知らない人も増えています。被災された方にとっては、見たくない、思い出したくないことでしょうが、次なる災害に備えるために、ご協力を頂いています。
このサイトには、動画や写真が、200点載っています。一度ご覧ください。また、これらは、自由に使って良いとのことです。講演などに使うには便利な、アーカイブができました。
続・介護保険制度10年
昨日書いた「介護保険制度10年」を読んで、当時厚生省で、介護保険制度創設に携わった知人から、便りを頂きました。
・・10年前、厚生省××で、施行前後の大作業の一部を担いました。本当に、よく新保険制度の創設というあれだけのプロジェクトが、大きな波乱なくスタートできたものだと思います。自治省の財源面の最大限のサポートがあってのことです。県と市町村も、当時この分野によい人材を投入し、がんばったのだと思います。 措置を脱したおかげで、大きな雇用を生みました。今や医療・福祉の雇用労働者は565万人で、建設労働者437万人を上回っています(平成20年)・・
ありがとうございます。
介護保険制度10年
2000年に介護保険制度が導入されて、10年が経ちました。新聞などが、この10年を振り返っています。利用者は初年度149万人でしたが、現在では約400万人に増えています。家族の負担が、それだけ軽くなりました。もっとも、老老介護の困難や、認知症の妻を殺す夫の事件などの悲劇もあります。費用が増えて、保険料や利用料が引き上げられるという問題もあります。
介護保険制度は、法律ができて、2年半で実施に移されました。担当する市町村役場は、準備が大変だったのです。短期間に全国一律に実施することができたのは、法律と、財源(国庫支出金と地方交付税)と、市町村の能力があったからです。また、導入までに、1990年代にシルバープランやゴールドプランなどで、サービス提供能力(施設と人員)を急速に準備しました。当時、私は交付税課課長補佐で、財源を手当てしたことを思い出します。大変な額でした。
私は、介護保険制度が、日本が先進国から輸入する、最後の大きな制度だと、主張してきました。行政サービスは、ほぼそろえたということです。もちろん、下水道や公園など、まだ不十分なものもありますが、仕組みは出そろっています。輸入するものはなくなりましたが、国内では新しい課題が、次々と生まれています。子どもの格差や、引きこもり、虐待などです。介護制度も、いろいろ指摘されている問題を、解決していかなければなりません。また、介護サービスを、措置(市役所があてがうこと)から、選択(利用者が選ぶこと)にしたことも、画期的なことだったと評価しています。
日本大学での講義
2010年4月から、日本大学法学部大学院で、非常勤講師を勤めています。
春学期は「危機管理特論」、秋学期は「公共経営論」です。
2010年春学期「危機管理特論」:土曜日第2時限(10:40~12:10)
授業の内容
災害や事故対策といった狭い意味での危機管理ではなく、広く、政府(中央と地方)による、社会のリスク対策を議論します。
政府の危機管理の法制や能力は、阪神淡路大震災や北朝鮮のミサイル発射などを教訓に、大きく進みました。一方、サイバーテロや国際金融危機といった、新しいリスクも生じています。さらに、災害や大事故といった古典的なリスクだけでなく、いじめや引きこもり、貧困や格差といった、社会生活・家庭生活の問題が、政府の取り組むべきリスクとなりました。これら社会のリスクとそれに対する政府の対応について、近年の変化、現状、課題を整理します。また、社会のリスクとは別に、行政組織でのリスク管理を議論します。
講師は、内閣総理大臣秘書官、総務省大臣官房総務課長、県庁総務部長を勤め、現在は消防大学校長の職にあります。その経験を基に、お話しします。
授業予定
4月10日 (開店休業)
4月17日 はじめに―講義の概要とねらい
4月24日 第1部 社会のリスクの変化と行政の対応 第1章 リスクの分類
5月 1日 (大学院休み)
5月 8日 第2章 政府の対応(その1)
5月15日 第2章 政府の対応(その2)
5月22日 第2章 政府の対応(その3)
5月29日 第3章 近年のリスクの特徴
6月 5日 (休講)
6月12日 第3章 近年のリスクの特徴(続き)
6月19日 第4章 行政の役割の変化
6月26日 (休講)
7月 3日 第4章続き
7月10日 第2部第1章 行政組織のリスク
7月17日 (補講)第2部第2章 「行政の危機」を管理する