13日の日経新聞経済教室に、上村達男早稲田大学教授が、会社法制改革について書いておられました。私が興味を持った点を、要点だけ紹介します。
・・戦後の経済改革は、「経済の民主化」や「証券民主化」といわれたように、それまでの財閥中心の体制を個人ないし市民中心の体制に転換させようとしたものであった。その理念は、米国流の人民資本主義であり、市民が株主となって企業社会をコントロールする、企業社会と市民社会の結節点としての証券市場を構想するものであった。
しかし、その時点では、市場を担えるような資産を持った個人も市民も存在せず、証券市場抜きの株式会社制度が戦後日本の企業社会を特徴付けた。資金調達は銀行をはじめとする間接金融中心であり、株式会社とは経営者にとって経営の道具であり器でしかなかった。株式市場を支える個人層のいない日本では、法人株主が主役となった。
貧しい日本がこうした行き方によって急速な経済発展を遂げたこと自体は肯定されるべきだ。しかし、ルールや制度・規範という観点からすると、それは「いまだ戦後」なのであり、公正な証券市場の存在とそれに対応する株式会社制度の存在、そしてそれを可能とする法的システムの整備を通じて実現された成功とは言えない・・
そして教授は、株式会社が本格的に証券市場と対峙する状況にふさわしい、株式会社制度を提唱しておられます。これまでの株式会社法は、株を持っている株主だけを考えていた。株主からのガバナンスであり、株主への説明責任です。しかし、株の保有者である株主だけでなく、「株の買い手」である投資家(公衆・市民社会)と、「株の売り手」である投資家の、3者への責任を自覚した法制をつくるべきだ、と言っておられます。
経済社会と法制度の関わりを、明快に分析したご主張だと思います。極めて短く紹介したので、詳しくは原文をお読みください。
月別アーカイブ: 2010年4月
東京は世界からどう見られているか
ニューヨークで発表された、世界大都市比較を、ニューヨーク在住の植田君に教えてもらいました。ニューヨーク市に立地する大手企業団体(NY市・州へ企業の立場で提言をする団体)であるPartnership for New York Cityが、大手会計事務所のPWCと一緒に発表した「世界の都市力比較調査」です。世界主要21都市について、都市を活性化する指標を、10領域58指数選んで比較しています。
それによると、東京は、10の領域のうち、「交通・インフラ」が21都市中トップとなり、「健康・安全・治安」が2位、「知的資本」が3位、「テクノロジー知能指数・技術革新」が3位です。東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリと並ぶ、経済面での主要都市です。
一方、「産業・生活のコスト」の面では最下位、「人口構成・居住適性」では下から6番目です。このほか、エンターテイメント、旅行、ファッション、食ビジネスの充実度を示す「ライフスタイル関連資産」は、香港やシンガポールにも負けて7位。「持続可能性」の面では、資源のリサイクルや都市の緑化の面で遅れをとり、9位、「ビジネスのしやすさ」では10位、「世界のマーケットへの影響力や投資の誘致, 成長の促進」は11位です。詳しくは、原文または日本語発表をお読みください。
大学院授業開始
今日、日本大学に行ったら、参加する学生がいました。よって、講義を開くことにしました。そうとなったら、講義の準備を、再開しなければなりません。
知人の大学教員に話をしたら、ある教員は受講生なしで開講せず、もう一人の教員は受講生一人のゼミだそうです。そんなものなのですね。
消防研究センターの一般公開
今日は、消防研究センターの一般公開日でした。開始時間の10時少し前に、会場入り口行ったら、すでにたくさんの人が、列を作っておられました。あいにくの天気なのに、たくさんの人に来ていただき、ありがたいことです。
国民の行政への信頼は、いろいろな面で傷ついています。しかし、消防は、国民の信頼の高い行政分野です。この信頼を築いてくださった先輩方に感謝し、国民の信頼を裏切ることのないように、努力しなければなりません。