18日の読売新聞「地球を読む」は、北岡伸一東大教授の「共同歴史研究。『侵略』認め、日中攻守逆転」でした。
2006年、安倍首相と胡主席の合意によって始められた日中歴史共同研究は、今年1月に報告書を発表しました。しかし、研究の途中から、中国側が公表に消極的になり、一時はすべての不公表を求めたそうです。先生は、興味深い指摘をいくつもしておられますが、ここでは一つだけ紹介します。
・・・極端に隔たって手のつけようのない問題に、両方の中道の歴史家の考え方を示すことで突破口を開くことが目的であって、パラレル・ヒストリーとは、そのための積極的な手法だった。
中国では、日本は侵略を認めていない、反省していない、謝罪もしていないと考えている人が少なくない。これに対し、日本側は日本の侵略は認めているが、中国側の主張は一方的で誇張されていると考えている。それを相手に読ませたかったわけである。
ここに攻守は逆転するのである。日本に侵略を否定する声が大きいうちは、中国は、日本は反省していないと主張し続けることができる。しかしわれわれが非を認めると、それがどの程度の非なのか説明せざるを得なくなり、守勢に回った。各章の「討議の記録」の削除を求め、戦後編の非公表を求めたのは、中国が受け身に立ったからである。
・・東アジア共通の教科書を考えても良いと思う・・また、外交だけでなく、内政にも目を向けるべきである・・第三国の学者の参加も歓迎すべきだろう。真理が直接的当事者にしかわからないというのはおごりであり誤りである。このようにして、歴史学の大原則に立って、東アジアの歴史を共同で書くことを、日本から提案したらどうだろう。中国や韓国が積極的に応じないだろう、という人もあるだろう。それでも一向にかまわない。その場合は、歴史を直視していないのがどちらか、世界に明らかになるわけだから。
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