昨日の幹部科に続いて、今日は、救助科で校長講話をしました。救助科の学生は、危険な場所で被災者や逃げ遅れた人を救い出すプロです。テレビで、ロープを伝って救助する場面をごらんになったこともあるでしょう。あの屈強な強者たちです。といっても、大学校に入学するのは、若者ではなく、後輩を指導する立場の人たちです。今回の60人は、平均年齢37歳です。昨日の入校式といい、今日の授業中といい、姿勢は正しく、動作は機敏、挨拶や返事も大きなはっきりとした声で、ほれぼれします。
ところで、私は大学3年の時に、ある授業にショックを受けました。もう35年も前の話です。たぶん、法学部31番教室だったと思います。名物教授ということで、必須科目ではなかったのですが、履修しました。第1回目の授業で、私にとっては、つまらない話をされました。「これが東大法学部教授か」と、がっかりしました。ところが講義が終わる際に、先生がおっしゃいました。「今年の学生のできは、いまいちだな」と。「笑うべきところで、笑わない、反応がない。私は何年も授業をしているが、今年の学生のヴィンテージは、良くないね」と。同じブドウ畑でワインを作っても、できの良い年とそうでない年があります。先生は、私たち学生をブドウとワインにたとえられたのです。
同じように、授業をしていて学生の反応がよいと、うれしいですね。今になって、石川吉右衛門先生の授業を思い出します。