消防大学校は、「消防研修」という専門誌を発行しています。平成22年3月号は、「消防と救急医療」が特集です。
救急車は、皆さんもよく見かけるでしょう。救急車は全国に約6,000台あります。平成20年の1年間に、510万件も出動し、468万人を運んでいます。6秒に1回の割合で救急車が駆けつけ、国民の27人に1人が運ばれている計算になります。国民の期待に応えるように、この分野でも改善が続けられています。救急救命士という専門資格を持った職員が乗るようになり、救急車も大型になりました。
しかし、救急車を呼ぶ人が増えていること、救急車を呼ぶほどの状態でないのに救急車を呼ぶことで、本当に運ばなければならない人を運べない場合があること、受け入れ病院が決まらず時間がかかる場合があることなどの、問題が出ています。
ちなみに、1991年には、出動件数は約290万件でした。約20年の間に、これだけも増えているのです。事由の内訳では、交通事故(約60万件)などは横ばいか減っているのですが、急病が140万件から310万件に倍増しています。病人がそれほど増えたとは考えられないので、救急車を呼びやすくなったということでしょう。
軽傷の方には救急車でなく自分で病院に行ってもらうこと、そのために電話で相談にのることや、病院との連携を改善することなどが、取り組まれています。本号では、法令改正の概要、医療から見た問題点、現場での実情と改善方法、判決の問題点など多面的に解説しました。結構良くできています。内容が専門的なのと、各消防本部や関係機関にしか、配布していないのが残念です。