歴史書の表題をみていると、うまい表現だなあと、感心するものがあります。例えば、講談社の「日本の歴史」シリーズ(2002年頃発刊、講談社学術文庫に収録中)には、次のような本があります。
「文明としての江戸システム」「維新の構想と展開」「明治人の力量」「日本はどこへ行くのか」など。単に「××時代の歴史」といった表題と違い、視角が鮮やかで、その時代の特徴を一言で切り取っています。もちろん、視角がはっきりしているということは、その他の見方を切り捨てているということですが。
これらの表現に触発されて、現在の日本はどれだけの構想を持ち、力量を持っているのか、考えさせられます。また、後世の人から、どのような時代であったと評価されるのか、これまた想像してみます。
その他、講談社の「興亡の世界史」シリーズ(現在刊行中)には、「大英帝国という経験」「東南アジア 多文明世界の発見」「モンゴル帝国と長いその後」などもあります。これらも「なるほどね」と、思います。東京大学出版会の「新しい世界史」シリーズ(1987年頃)の「支配の代償 英帝国の崩壊と「帝国意識」」なども、表題だけで歴史の見方が変わりますね。