17日の読売新聞・地球を読むは、佐々木毅先生の「新前川レポート」でした。
・・グローバル化時代における政府の役割は、経済環境全体の大きな変化の中で、限界はあるにしろ、まずは国民に一定程度の安定感を与えることを通して、社会の生存能力を維持することである。
言い換えれば、日々疾風怒濤の中に置かれているグローバル企業の動向から、一定程度自立した社会空間を国民に提供することが政府の役割であり、国民を漫然とこの疾風怒濤の中に投げ込んでいるのでは、存在意義がないことになる。それでは、グローバル化と民主政治を抜き差しならない対立関係に導くことにつながる。
先に触れた旧来のシステムの解体の結果、何が起こったかというと、それは比喩的に言えば、社会の信用創造の慢性的な劣化であった。過度の癒着の排除の後に登場したのは、バラバラの中での相互不信、相互無関心の増殖であった。官と民、中央と地方から株式市場に至るまで、究極的には少子化に至るまで、この劣化は至る所に深く根を張っている。
これは、経済や社会の前進を阻むゆゆしい兆候である。この立て直しは基本的に政治の課題であり、それは最終的には、政府の存在意義の確立を通してのみ実現可能である・・