人を動かす3つの方法

他人や他国を動かす、当方の都合のよい方向に動かすには、大きく分けて次の3つがあります。個人の場合は「人を動かす」であり、国家の場合は「ハード・パワーやソフト・パワー」の議論になります。
1 力ずくでやらせる。腕力や武力に訴える。
2 お金や、ほうびを上げる。
3 信じさせる。あこがれや、そうすることがルールだとか良いことだと、信じ込ませるのです。
1はコストがかかり、こちらも痛い目に遭うことがあります。また、恨みを買う場合があります。2は1に比べ粗野ではありませんが、やはりコストがかかります。そして、しばしば、金の切れ目が縁の切れ目になります。
3は言葉で動かすので、もっともコストがかかりません。相手が自発的に行動してくれるので、恨みを買うこともありません。文化的あこがれ、国際標準、恋愛、宗教・・・。

ジャパン・アズ・ナンバーツー

先日、朝日新聞の連載「ジャパン・アズ・No.3 日中GDP逆転へ」を紹介しました。私は、この連載はよい企画だと思いましたが、標題には疑問を持ちました。
引用しましたが、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を書かれた、エズラ・ボーゲル教授は、次のように発言しておられます。
「僕がナンバーワンと言ったのは、経済が一番大きいという意味ではなかった。日本は義務教育の水準、会社への忠誠心、長寿であることなど多くの点で世界一で、その日本から米国は学ぶべきところがあるという意味だった・・」
日本がGDPで世界第2位は、1968年から約40年間続きました。でもその間に、日本は「ジャパン・アズ・ナンバーツー」だったでしょうか。経済力が世界第2位であることと、国際社会で「第2位」の地位を占めることとは、別物です(もし、そのような順位がつくとすればですが)。
この記事の、GDPが世界第3位になると、「No.3」であるとも読める標題の付け方は、依然として、経済力で自分の姿を測る考え方でしょう。
敗戦から立ち直った日本が、23年で、世界第2位の経済力を持ったことは、素直に喜んで良いでしょう。またそれを40年間も続けたことは、評価して良いでしょう。
しかし、国際社会で中心的な地位を占める、あるいは尊敬されるためには、軍事力や経済力が強いだけではだめです。世界の秩序(政治・経済・文化)をつくる際の影響力の大きさが、一つの基準でしょう。それには、他国からあこがれをもたれる存在であること、また国際社会での発言権と責任が必要です。日本は、世界に対し、どれだけのことを貢献し、発信したのでしょうか。
また、この記事に関連してですが、「G2」という言葉を、聞くようになりました。中国が力をつけてきたので、世界がアメリカと中国の2つの超大国を中心に動くという考え方のようです。しかし、これも、経済力が大きければ、国際社会の中心になるという発想だとすれば、短絡的ですね。

消防大学校・入校式

昨日は幹部科78人、今日は危険物科34人の、入校式がありました。静かだった学校が、にぎやかになります。来週は、上級幹部科と予防科の学生が、入校していきます。私も、校長講話や地方自治の講義があり、その準備が忙しくなりました。もちろん、通常の管理業務もあります。
校長って、もう少し時間に余裕があると思っていたのですが、なかなかそうはいきませんね。

ジャパン・アズ・ナンバースリー

(ジャパン・アズ・ナンバースリー)
朝日新聞は、「ジャパン・アズ・No.3 日中GDP逆転へ」を連載しています。13日は、エズラ・ボーゲル教授でした。ベストセラーになった「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(1979年)の著者です。
・・僕がナンバーワンと言ったのは、経済が一番大きいという意味ではなかった。日本は義務教育の水準、会社への忠誠心、長寿であることなど多くの点で世界一で、その日本から米国は学ぶべきところがあるという意味だった・・
「日本社会もナンバー3ですか」という質問に対しては、
社会構造で順位をつけるつもりはないが、55年体制はかつては適切で、30~40年間は非常にうまくいった。政治家は高度成長という方向性を打ち出して重工業の拡大に力を入れ、官庁は外国からの知識を得て政策に生かした・・しかし、2000年以降は、その取り組みも適切でなくなった。世界の変化とともにサービス産業に力を入れる必要があったが、日本ではサービス産業の保護を続け、自由に競争できる産業をつくらなかった・・
・・日本には競争力があるサービス産業や、高度な技術が必要だ。しかし、そのもとになる国際競争力のある大学が日本には少ない。大学教育に、会話力を含めた英語教育が足りないからだ。国際的に一流の人間を集めるためには、英語が必要だ・・
・・最近、日本人は内向きになり、海外にも行かなくなった。50~70年代は日本人は海外で懸命に学んだ。今は国内での生活に満足しているし「海外に行かなくてもだいたいわかる」という気持ちもあるのだろう。しかし、日本の将来を考えると、もう少し元気を出し、困難でも海外で挑戦するような精神が必要だ・・
日本はまだ覚えるために勉強している・・想像力とか、新しいものを発見する精神が足りない。子どもたちは、塾と学校の両方に行って夜まで同じことを繰り返し、能率が悪い・・
・・僕の本も悪い影響を及ぼしたかもしれない(笑い)。・・日本は80年代半ばごろから満足し、十分に勉強していない・・(この項つづく)

わたしの仕事術:当面の仕事の書き出し

今日は、仕事の進め方について、お話しします。と言っても、その取りかかり方です。
拙著「明るい係長講座」では、年間業務予定表の必要性と効果を、書きました。 あれは、組織の業務管理です。今日は、それを前提に、各人の仕事の管理をお話しします。
もちろん、私の職場にも行事や業務の予定表があり、私自身も手帳に仕事の予定を書き込んで、スケジュールを管理しています。しかし、それは会議や懇談会などの「行事の予定」=「時間の予定」であって、自分で考え片付けなければならない「作業の予定」=「頭の予定」ではないですよね。
例えば、「13日13:00~14:00 校長講話」と、手帳に書いてあっても、それは行事・業務の予定であって、私がまずしなければならないことは、その準備(レジュメの作成、話す内容の骨子づくり)です。重要なのは、本番の前の準備です。しかし、それをいつするかは、手帳には書いてないのが普通でしょう。
また、私たちの職場では、一つの仕事に没頭しておればよい、ということは少ないです。同時にいくつも仕事を抱えていて、どれもが、なかなか片付かないことって、多いですよね。
仕事が縦一列に並んで、来てくれればよいのですが。それも、簡単な仕事から順に。アリくらいの仕事の後ろにネズミくらいの仕事が。ネズミの後ろにネコが。ネコの後ろにイヌが・・というように(笑い)。
世の中、そうはいきません。縦一列でなく、横一列や集団で、こちらに向かってきます。昔、夜店やゲームセンターの射的で、そんなのがありましたね。右に出てきたトラに照準を合わせると、左の方でゾウが出てきて。そっちに気をとられていると、また奥の方でライオンが出てきて・・。迷っているうちに、的が隠れてしまい、どれも倒すことができないのです。
私たちの抱える仕事も同じで、大物や小物が混在していて、いらいらします。夜寝る前とか、朝机に向かった時に、仕事がいろいろ浮かんで、憂鬱になったことって、ありませんか。
私は、仕事を、次のように整理しています。
まず、抱えている仕事を、紙(A4の罫紙)に書き出します。大物も小物も。その際に、「当面の仕事」と「中長期的課題」とに分けます。「当面の仕事」には、締め切り日を書きます。
そして、それぞれの中は、「本業」「副業」「その他」に分類しておきます。副業といっても、考え事の整理や原稿です。その他とは、雑事です。もちろん、「本業」が一番大切なのですが、「その他」に入っている仕事にも、気がかりなことは、たくさんあります。
「なーんだ、それだけのことか」と、がっかりなさる人も、多いでしょう。
しかし、「明るい係長講座」にも書きましたが、目に見える形にしないと、人は忘れます。さらに、書き出すことで、まずは全体がつかめて、一安心します。
頭の中にあるだけでは、ぐるぐる巡りをして、不安を増長します。「あれもしなければ」「これも片付けなければ」と思っていると、いらいらするだけで、ちっとも進みません。
次に、急ぎのものとそうでないものを分類することで、急ぎの優先順位が見えます。そして、大物と小物が見えて、どれに力と時間がかかるか、配分がわかります。このように優先順位をはっきりさせることで、本人は安心し、仕事も進みます。
「見える化」は、仕事を整理するために、とても重要なことです。
処理できた項目には、赤鉛筆で「済み」と書き込ます。この瞬間が、うれしいのですよね。途中まで進んだ項目には、「あと、××が必要」と書き込みます。
順に片付いて、赤鉛筆で消していくのですが、残念なことに新しい仕事が入ってきて、加筆され、項目が減ることはないのです。数日経って、メモが汚くなると、全体を書き換えます。
私は、こんなことを、1週間や10日ごとに、繰り返しています。
貼ってはがせるメモ用紙(ポストイット)に、処理しなければならない仕事を書き込んで、机に貼っている人もいます。あれは見た目がきれいでないことと、全体像がつかめない、優先順位が見えないので、私は採用していません。
ノートに書き込む人もおられますが、私は、1枚の用紙の方が見やすいのと、すんだら捨てる主義なので、ノートは使っていません。
皆さんも、それぞれ工夫してやっておられることでしょうが、私のやり方を「明るい係長講座」続編として書きました。