消防大学校の授業に、校歌練習があります。私も最初は、その必要性と効果を疑問に思っていました。ところが、学生たちの評価は高いのです。「発声の基本がわかった」とか「ぐいぐいと学生を引きつける教授法がすごいです」といった評価が、書かれます。今日、私も授業に参加し、なるほどと納得しました。「校歌練習」は導入部であって、発声の基本、挨拶の基本を、厳しく指導してくださいます。
社会人である以上、人前で話す、それも相手にわかりやすく話すことは必須です。さらに消防の場合は、現場での指示・指揮・報告・確認と、はっきりと手短に伝えることは基本です。もちろん、大学校に入校するのは各消防本部の幹部と幹部予定者ですから、声は大きくはっきりしています。しかし、音楽の先生の前に出ると、まだまだなのです。
全員で、あるいはグループで、さらには個別にみんなの前で、歌を歌ったり、名前を名乗ったり、挨拶をさせられます。そして、どのような点が悪いか、良いかを指摘してくださいます。学生は、声を出すことで参加し、指名されることで緊張し、しかられることで緊張感が高まり、褒められることでほっとします。人を動かす際の基本ですね。先生はもっといろいろな工夫をしておられますが、「企業秘密」でしょうから、これ以上は書きません。