15日の日経新聞読書欄「今を読み解く」で、藤巻編集委員が、移民問題を取り上げておられます。「移民政策」は政治が決めなければならない課題ですが、現在日本におられる「定住外国人対策」は、政治と行政が取り組まなければならない仕事です。
記事でも紹介されていますが、今年1月に、内閣府に定住外国人施策推進室が設置されました。これまで、各省で取り組んでいたのですが、政府全体の担当組織がありませんでした。現場である市町村役場では、取り組みが進んでいる分野でもありました。「定住外国人施策ポータルサイト」もつくられています。もちろん、英語やポルトガル語もあります。各市町村でも、このようなページが作られ、国のサイトとリンクされると便利なのですが。
このほか、内閣府の共生社会政策担当政策統括官(局に相当)では、青少年対策、自殺対策など、社会の問題に取り組んでいます。今年の春に「子ども・若者育成支援推進法」が成立したことは、先日(10月19日)紹介しました。これも、この統括官が担当しています。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)も、担当です。これまで十分認知されなかった暮らしの課題が、行政の仕事として取り組まれつつあることは良いことですね。まずは、行政の課題として取り上げ、担当部門をつくる。ここから、対策は始まります。そして、このような課題は、道路や箱ものと違い、予算をつけたら完成する施策ではないのです。行政にとって、難しい課題です。拙著「新地方自治入門」では、このような問題を、地域が取り組まなければならない課題として、取り上げました。現場では、逃げたり先送りができないのです。