11日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅先生の「全面対決と大連立の間」でした。
・・民主党が参院選で勝利した「にもかかわらず」というよりは、むしろ勝利した「ために」、民主党は与党との不断の接触、責任の分有を求められることになった・・。与党が衆参両院で多数を支配していた時期には、こうした厄介な関わりに巻き込まれる必要はなかった(野党が全面対決姿勢でも与党は困らなかった)。
与野党全面対決では国会は動かなくなり、政治は停滞する。他方、今のままでの大連立ということになれば、政治から競争が消え、結局のところは政治は生気を失ってしまう、今回の出来事から考えさせられるのは、与野党全面対決か大連立しかないのかという素朴な疑問である・・
政党政治の工夫のしどころは、むしろ全面対決と大連立という両極の間でさまざまな競争の場面をつくり、必要に応じて妥協や協力をさまざまな段階で演出することにある。もちろん、目指すところはそこでの自らの得点である。
全面対決か大連立かという発想しかないということは、こうした発想能力と演出能力が、極端に貧困であるということにほかならない・・