今回の国際金融危機が示したことは、実体経済を伴わない金融は、いずれは立ちゆかなくなるということでした。バブル経済の一種だったのです。1980年代後半の日本のバブル経済と比べると、土地を担保にした点は同じです。違ったのは、債券化されより複雑化し、そして世界中に売られたことです。国際金融の規模が、実物経済より大きくなったことは、早くから指摘されていました。
目を歴史に転ずると、もの作りや貿易でリードした国が、金融で儲ける国に「進化」し、そして衰退する例があります。イタリアの都市国家、オランダ、イギリスです、今のアメリカが、その道を歩むのかどうか。
もちろん、金融が悪ではありません。実物を伴わないものは、ゲームであり、いずれ破綻するということです。かつて、金融には「裁定型業務」と「価値創造支援型業務」の二つがあるという、池尾和人教授の主張(2008年9月21日)を紹介しました。
経済が成長するためには、モノなりサービスなり、価値を生まなければなりません。そして、これからの日本は、そのうちの何を伸ばすのか。