今日の校長講話は、「現代社会のリスク-私たちの暮らしと政府」をお話ししました。リスク総論といったものです。近年は、リスク学が大流行です。私もこれまで、県の総務部長としての実務経験や、行政の課題として、勉強してきました。さらに、総理秘書官として、広く社会のリスク、災害・事故対策を考えました。
いくつかの切り口がありますが、「個人・家庭のリスク」「地域・国家・世界のリスク」と分けることできます。そして、「人為によるもの」と「自然・偶然によるもの」という分類ができます。また、損なわれる安全安心という観点から、身体・精神、財産、人の自立・人間関係、社会の仕組み・機能などという分類もできます。
次に、個別のリスクを、この分類に当てはめます。それは、災害や事故、テロや戦争といった、よく取り上げられるものだけではありません。病気のほか、貧困、失業、引きこもり、離婚、家庭内暴力といった人生でのリスクも、近年社会問題となっているリスクです。プライバシーの侵害は、新しい被害です。毒物入食品や製品の欠陥などは、消費者庁をつくるまでになりました。
テロも、薬物によるものやサイバーテロなど、一昔前には想定していなかったものにも、備えなければなりません。金融危機やパンデミックも、最近のものです。少し変わったもので、じわりと来るものに、環境問題があります。
目に見えないやっかいなものが、増えています。そして、かつては個人や家庭の責任だったものが、政府の責任になっています。国民保護や製品安全などは、これまでもあったリスクを、新たに政府が取り上げるようになったものです。
このほかに、企業や自治体で関心を持たれている「リスク」に、組織の不祥事、加害者になった場合のリスク管理があります。これは、上に述べた個人や政府のリスクとは、別のものです。