5月9日の日経新聞「東京市場競争力強化への提言」で、ポール・クオ国際銀行協会(在日の外資系金融機関の団体)会長が、次のようなことを発言しておられます。
・・魅力ある金融センターの条件として、市場関係者がこれまで一番重要と考えてきたのは、優秀な人材がいるかどうかだった。ところがシティーが実施した調査によると、最近は規制環境が最重要視されるようになっている。
規制環境で重視されるのは、行政の予見可能性だ。こういうことをすれば、当局の見解・反応はこうなると予測できることが望ましい。市場参加者が、萎縮せずに活動に参加できるようになるからだ。日本も規制・監督体制が、国際的に見て最良の実践体制だと、広く認識されることを目指すべきだ。
行政の予見可能性を高めるためには、民間との連携を強化することだ。新商品が相次ぎ登場するなど市場は常に変化しているが、今の行政はこれを後追いする形になっている。当局が様々なレベルで民間人を積極登用すれば、最先端の金融ノウハウを吸収することができ、変化に対して迅速かつ前向きに対応できるようになる。
イギリス金融サービス機構が採用している規制・監督手法を取り入れることも、一案だ。細かく定めたルール以外に、かくあるべきだという基本原則を設ける手法だ。速いピッチで進化を遂げる商品などには、現実問題としてルールが追いつかない場合もある。ルールが整うまでは、基本原則に沿って判断するという姿勢を示せば、市場関係者にも考え方が伝わり、予見可能性は高まる・・