逃げ切れなくなったシルバー世代

日経新聞「やさしい経済学ー21世紀と文明」、田中直毅さんの連載「多元化する世界と日本」。18日は、「自己統治と日本」でした。
・・以前は、将来世代への負担転嫁は可能との命題が、それなりの妥当性を持っていた。投票に熱心なシルバー世代は、年金や医療の給付水準にこだわりを示す。このシルバーポリティクスの下では結局、数が少ない若年の投票者、ないし投票資格のない次世代以降の人々の負担が高まるという現象が起きる。ところが、10年前から状況は一転した。財政の巨額赤字は、退職後も20年程度は社会保障給付に依存できると考えていたシルバー世代に、厳しい自己認識を促すだけの迫真性をもった。自らの世代内で決着をつける以外にはなくなったのだ・・
国債増発で公共事業拡大を、という内閣に対しては、市場は円売り・外貨買いで応じる以外にない、という見極めが広がったのだ・・自己統治の第一歩は、日本社会の持続性確保のため、政治のバランスシートを圧縮することだ・・この自己統治のための制度設計が本格化すれば、市場は日本買いに転じる一方、族議員型の古い政治機構や政党組織は見限られて一挙に瓦解しよう。それは、日本文明に画期をもたらすはずである・・(2008年1月19日)

大山耕輔先生の編著による『日本の民主主義 -変わる政治、変わる政治学』(慶應義塾大学出版会、2008年)が出版されました。曽根泰教先生のお弟子さんたち、先生と親交のある欧米の研究者による論文集です。詳しくは、リンク先の紹介をご覧ください。