人体の驚異

永田和宏『タンパク質の一生』(2008年、岩波新書)を読みました。例によって、寝る前にですが。あらためて、自然や生命の巧妙さや複雑さに、びっくりします。
人の身体を作っている細胞は、約60兆個。国家予算や地方財政規模が80兆円ですが。一つの大きさは、10~20ミクロン。一列に並べると、60万kmです。確か、東京大阪間が600kmでしたよね。ひえー。私の身体にも、あなたの身体にも、これだけの細胞が入っているのです。
その細胞一つ一つに、遺伝子情報を持ったDNAが入っています。それは46本のひもで、1個の細胞に入っているDNAをつなぎ合わせると1.8mになります。1mmの100分の1の大きさの細胞に、私の背丈ほどのDNAがつまっています。
で、一人の身体の中のDNAをつなぎ合わせると・・。電卓を出して、かけ算してください。1.8m×60兆個=1000億km。これは、太陽と地球を300往復する長さだそうです。
そして、1個の細胞に80億個のタンパク質が含まれていて、そのタンパク質は500とか1000個のアミノ酸からできていて、そのアミノ酸は・・・。
それがすごい早さで、誕生し、入れ替わり、死んでいるのです。この瞬間にもです。あとは、本をお読みください。

2008.07.03

猪瀬直樹さんのHP「日本国の研究」に、坪井ゆづる朝日新聞編集委員の「分権のあしたへ」が載っています。
・・福田康夫首相は「分権は内閣の最重要課題だ」と繰り返している。6月20日金曜日に地方分権改革推進委員会の第1次勧告に基づいて、政府が取り組む分権推進要綱を決めたときも、そう言って胸を張った。だが、政府要綱の内容は迫力に欠ける。とくに霞が関の各省から自治体に権限を移す分野で、勧告からの後退が目立つ。各省が「直し」を入れ、勧告を丸めた。「勧告の方向に沿って検討」とか「平成23年度中に結論」といった「あいまい、先送り」が目立ち、なかには「農地転用問題」のように勧告文の原型をとどめていない項目もあった。最重要課題なのに、この程度か。権限や財源を維持したい官僚に比べて、政治決断を迫られる政治家の態度の煮え切らないことよ。ああ、またか。そんな感想を抱いた人が多いはずだ。分権改革がめざすのは、自治体を自立した「地方政府」にすることだ。そのためには各省の権限や財源を自治体に移さなければならない。結果として霞が関の解体につながる・・
この内容は、6月26日のメールマガジンで、配信されたものです。早く紹介しようと思っていたのですが、著作権とルールを守るため、HPに載るのを待っていました。ちなみに、すでに次号(7月3日号)が配信されていて、青山彰久読売新聞編集委員の「地方分権改革推進委員会の使命」です。ご覧になりたい方は、配信登録をしてください。なお、私は、猪瀬直樹さんの主張にすべて賛成しているわけではないことを、付記しておきます。

最先端情報の入手・会うことの重要性

今日も、平野雅章『IT投資で伸びる会社、沈む会社』から。
・・技術動向に関する理解の必要性は、企業の属する産業によって違います。ハイテク企業であれば、研究所や駐在員をシリコンバレーにおき、技術者・科学者などとフォーマル・インフォーマルな情報交換を続けていくことが絶対的に重要でしょう。
通常、技術の先端的情報の微妙な部分は、学会・フォーラムやインフォーマルなミーティングなどでの技術者・科学者同士の直接接触を通じて、暗黙情報として交換されるので、これを得るためには先端技術開発の行われている地域に物理的に身を置くことが不可欠です・・(p89)。
そうなんですよね。大概の情報が、インターネットで手に入る時代になりました。ところが、人と会う重要性は、いっこうに減りません。最先端の情報で公開情報はインターネットで手に入ります。しかし、まだ公開されていない情報、それは不確定な、ものになるかどうかもわからない情報ですが、それらはインフォーマルな情報交換でしか手に入りません。これは、科学技術に限りません。
またこれとは違った場面でも、例えば人物評価が必要な場合は、会ってみないとわかりません。多くの場合、採用面接なしでは、人を採用できないのです。