29日の朝日新聞社説は、「地方分権―奪い取る気概がなければ」でした。
・・「地方分権は、霞が関の官僚から恩恵的にもたらされるものではない。地方が中央と戦って確立すべきものだ」 。政府の分権改革推進委員長として具体策を検討している丹羽宇一郎氏が、さきごろ開かれた全国知事会議で知事たちにこう喝を入れた。よほど歯がゆいのだろう。丹羽委員会はこれから、政府の出先機関を整理して仕事を自治体に任せたり、税財源の再配分といった分権改革の本丸に手をつける。だが、その最大の推進勢力であっていいはずの知事たちが何とも心もとない。
・・分権推進を掛け声に、小泉政権時代に行われた「三位一体」の改革では、結局、自治体の歳入の大きな部分を占める地方交付税を大幅に減らされた。また同じ目にあうのではと疑心暗鬼になるのも仕方ない面はある。 だが、それでは分権の推進力は生まれない。権限を奪われたくない役所や官僚。中央とのパイプ役の地位を失いたくない国会議員。こうした幾重もの壁を突破するには、丹羽氏が言うように「戦う」しかないのだ。権限とともにお金や人を奪い取る気概がなければ、分権は絵に描いた餅に終わる・・