日経新聞が、連載「ザ厚労省」を始めました。第1回は「羅針盤なき巨大組織、思考停止に膨らむ不信」です。
・・・人が生きるための制度をつかさどる。老後の安心、働く環境、医療の再生、子供の未来・・。頼るべき組織と人に、頼りないことばかり起きている。古びた制度や体質が、この国の行く先をさびつかせる。
・・・座標さえ見失った老朽船。厚労行政は、今も古い時代を生きる「戦時下の落とし子」だ。・・戦後は成長のレールの上で国富が膨らみ、人口も増えた。社会保障という「成長の果実の分配」に大きな苦労はなかった。そして急成長の時代が過ぎ、少子・高齢・人口減の時代が来た。過去の延長線では、日本の社会保障は崩壊する。価値軸が「負担の調整」へと変わっているのに、それを説明するすべを持たず、行き先を示せず、制度の手直しにきゅうきゅうとする。それが10万人を超す大所帯に膨れあがった今の厚労行政だ。
・・・「すべてを自分たちが扱っているようで、実は何も扱えていない」。昨年まで厚労相だった柳沢伯夫はそう思う・・
日々の事件報道だけでなく、このような構造的な分析記事は、重要です。連載に期待しましょう。そこには、厚労省に限らず官僚機構に共通する問題、日本の政治の問題、そして厚労省に特有の問題が含まれています。それらを腑分けして、論じてもらいたいです。