メンバーの能力と組織の能力

19日の日経新聞経済教室は平野雅章教授の「企業の人的投資、組織の能力が成果を左右」でした。教授の主張は原文を読んでいただくとして、私が納得したのは、次のような部分です。
「組織の優秀性は、組織メンバーの能力とは別物である。何となれば、メンバーが入れ替わっても、組織の能力は変わらないから。組織の能力は、メンバーの資質と組織の優秀さによる。」
この主張には、目から鱗が落ちるですね。いくら優秀な職員をそろえても、あるいは育てても、組織の能力が変わらないことは、多くの管理者が経験済みです。
私の研究フィールドでは、官僚機構の問題が、一部これに該当します。優秀な職員をそろえながら、官僚機構のアウトプットは上がらない。それは、組織に問題があるのです。
民間でも、過去に効果的だった仕組みと人が、新しい環境では機能不全になることがあります。しかし、過去の伝統で育った管理職は、それを変えようとしません。メンバーも、時代遅れの組織原理に染まっています。ここに、メンバーと組織の伝統・エトスは同調します。
このページで書いた「組織のガバナンス」「民間ベストプラクティス」などが、改革への道しるべだと、私は考えています。これについては、別途、議論をまとめようと考えています。

京都府知事の主張・河川整備の責任者

18日の朝日新聞「私の視点」は、山田啓二京都府知事の「河川整備計画、地元知事に判断委ねよ」でした。
・・国土交通省近畿地方整備局が原案に盛り込んだ4つのダム計画について、整備局の諮問機関である淀川水系流域委員会が「説明や議論が不十分」と待ったをかけた。この異例の事態は、実は当たり前といえる。整備局は、治水事業に関する高度な専門技術集団であり、利水や環境の問題に配慮しつつ最も安全確実な河川の整備こそ彼らの使命だ。一方の流域委は、治水だけでなく、まちづくり、景観、生態系など幅広い分野の有識者や住民代表らで構成される。委員がそれぞれの観点から主張すれば、治水専門家の整備局と意見がかみ合わないことは明らかだろう。
この問題の本質は、誰が河川の未来計画を判断して決めるのか、という点にある。整備局は、国の出先機関にすぎない。・・私は、地域住民の生命・財産を守る責任を負っている地方自治体が、技術集団の支援を受けながら責任を負っていくのが、本来の姿であると考える。地方行政の責任を任された知事が、様々な専門家の意見を聞き、財政負担の問題も含めて住民に説明しながら、総合的に判断すべきなのだ。しかし、現行の河川法では、国が管理する河川の整備計画について、知事は議論の過程に参加できない・・

祝100万番・過去のページ

お祝いに玉岡雅之神戸大学准教授から、過去のページをプレゼントしてもらいました。「The Wayback Machineというサイトに、過去のページが何枚か保存されているのです。そのままだと文字化けしているので,Internet Explorer の「表示>エンコード」で「日本語(シフト JIS)」を選ぶと、読めるようになります。
一番古いのは、2002年6月10日、ほぼ6年前です。カウンターはその時点とは違った数字が載っているようですが。懐かしいですね。1月にHPを作ってまだ半年の頃です。ニフティの無料ソフト「さくさく君」を使っていたので、4ページしか作れなかったのです。それで、毎日の記事(日記)も、残さずに消していました。
玉岡先生、ありがとうございます。

第1次勧告の扱い

14日の読売新聞解説欄で、青山彰久編集委員が「分権推進要綱案固まる。抵抗受け骨抜き、首相の指導力欠如」を解説しておられました。要約は、政府の要綱案は、分権推進委の第1次勧告の内容を後退させる内容になった。分権に抵抗する各省・議員の意を酌んだためだが、改革には首相の強い意思が不可欠。というものです。
16日の東京新聞では、清水孝幸記者が、「地方分権委が1次勧告。試される政治のやる気」を解説していました。「中央官僚と族議員は相変わらず権限死守の姿勢だ。骨抜きや先送りは許されない。首相と首長のやる気が試される」。

年金財政改革

16日の朝日・読売・日経3紙に、「どうする年金、3社で座談会」が載っていました。今年になってから、日経が税方式を主張したのに対し、朝日・読売が保険料方式の修正案を主張しています。この座談会は、3紙の論説委員らが、3社の主張を議論したのです。
政府の案を批判するだけでなく、改革案を提言することは、私はとても良いことだと思います。「新聞社は自説を主張してはいけない」という意見もあるそうですが、社説では毎日、自説を主張しています。それなら、批判より建設的な提言の方が意味があります。年金財政に限らず、いろんなテーマでやって欲しいです。
大林尚記者は、大活躍ですね。