拙稿「地方財政の将来」(神野直彦編著『三位一体改革と地方行財政』(2006年、学陽書房)所収)に、今後の地域の行財政運営のあり方について書きました。
そこでは、財政運営だけでなく、市役所の経営や地域の経営にまで視野を広げて、議論しました。財政改革は必要ですが、財政は市役所運営の財政的裏付けでしかありません。市役所を経営体と考えれば、より広く行政改革が必要であり、さらには組織統治が必要なのです。ここで言う行政改革は、より小さなコストでよりよいサービスを目指すことです。組織統治(広義)は、民間企業での経営と対比したもので、事業の品質管理(クオリティー・アシュアランス)、法令順守(コンプライアンス)、企業統治(狭義、コーポレート・ガバナンス)の3つです。
さらに視野を広げれば、市役所もまた、よりよい地域を作るための道具でしかありません。すると、地域の経営、すなわちよりよい地域を作るにはどうしたらよいかを、考えなければなりません。そこでは、何が市役所の目標であるかを考え直すことと、行政の守備範囲(行政以外の公共サービスを提供する主体との連携)を考える必要があります。