民間の方たちと議論していて、次のような話になりました。私の関心は官僚機構の今後であり、彼らは企業の今後についてです。しかし、見方は共通なのです。
一つめは、官僚機構が評価を復活させるためには、「新しい価値」を生まなければならないことです。これまでは、先進国からの輸入という手法で、新しい価値=新しい行政サービスなどを国内に広めました。しかし、先進国に追いついたことで、輸入すべきものがなくなりました(これは、私がいつも言っていることです)。
民間企業が勝ち残るためには、新しい製品やサービスを提供しなければなりません。学界も同じで、人より先に新しい発見や理論を提示しなければなりません。官僚に求められることは、新しく生じる社会問題に、どのような対策を講じるかです、新しい政策を打ち出せるかどうかが、問われます。これまでと同じサービス(政策)を売っているようでは、評価は復活しないということです。
もう一つは、競争の場です。企業は、世界を相手に競争をしています。経済のグローバル化で、国内で勝っているだけでは、じり貧なのです。学界も、世界で勝負しています。それと同様に、官僚も、国際社会で日本が生き残ることを、考えなければなりません。
日本で勝って世界で負ける減少を、「ガラパゴス現象」と呼びます。閉ざされた世界でそれなりに進化するのですが、世界では負けるのです。内弁慶では、だめなのです。
もちろん、企業でも官庁でも、決められたことを実行するという仕事も重要です。しかし上に述べた観点から見ると、企業において、内部管理部門より開発部門と営業部門が重視されることが、納得できます。官庁においても、事業の執行や予算や補助金を配分する仕事は重要であっても、それは新しい価値創造ではなく、また世界での競争ではありません。それらは、これからの官僚に期待される重点的な役割では、ないのでしょう。