謝る相手は・・

17日の朝日新聞「耕論・リサイクルのあり方」、製紙業界が再生紙の古紙配合率を偽って製造、販売していたことに関して、武田邦彦教授の発言から。
・・この世界は元もと、リサイクルがうまくいっていた。ちり紙交換で回収し、製紙会社が混ぜて作り、バランスのいいリサイクルができていた。ところが、政府が調達するコピー紙は配合率100%、印刷紙は70%でないと買わないといって、おかしくなった。100%は技術的に難しいのに、そうでないと買ってもらえず、ごまかしが起きた。
製紙業界は、市民に謝るべきなのに、役所に謝っていて、おかしい・・

公設民営

自動車損害賠償責任保険の保険料が、4月から下がることが、報道されています(例えば、朝日新聞16日ニュースがわからん)。交通事故の数が減ったからです。この保険って、興味深い仕組みなのです。
この保険は、交通事故の被害者を補償するものです。自動車をお持ちの方は、ご存じでしょう。法律で自動車を持つ人全員に、1台ごとに加入が義務付けられています。強制保険です。しかし、保険の運営は、民間の損保会社各社が行っています。皆さんの入っている保険も、損保会社などでしょう。保険料などは国が決めて、一律なのです。これだけでは補償金額が少ないので、その上に別途、民間の自動車保険に入っておられると思います。
賢い仕組みだと、思いませんか。これも、公設民営と言っていいのでしょうか。社会保険庁の事件を考えると、民営で良かったですね。もちろん、仕組みを官が設定するので、その設定が非効率だったら問題が生じます。
このほかに、自動車事故には政府保障事業があります。これは、ひき逃げや、無保険の事故を救うためです。

インターネット黎明期

16日の朝日新聞変転経済は、インターネット黎明期でした。1990年代前半に商用利用が始まったインターネットは、今や仕事や暮らしに欠かすことのできない道具になりました。しかし、記事によると、国際標準化機構で承認され、政府が推奨した規格は広がらず、非主流の技術者によるものが広がったのだそうです。そこでの苦労が書かれています。
一般向けに、インターネット接続ソフトを組み込んだ「ウインドウズ95」が発売されたのが、1995年です。私が、『明るい係長講座』で、ファックスの便利さを述べた後、「アメリカのオフィスでは、職員一人ひとりにパソコンが与えられ、すでに電子メールの時代になっています。そこでは、電話がりんりん鳴ることもありません。朝出勤すると、職員はまずメールを開いて、届いた文書を見るのです・・」と書いたのが、1996年でした。当時、職員と「いつになったら職員全員にパソコンが配備されるのかねえ」と、議論した記憶があります。
今や、職場はもちろん、家庭でも数台入っている時代になりました。そして、インターネットに接続されています。まだ、10年ちょっとしか、経っていないのですね。

公務員制度改革

東京新聞10日の「時代を読む」は、佐々木毅先生の「公務員制度の眼目とは」でした。「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会の最終報告」についてです。
・・・最大の注目点は、内閣人事庁の設置である。この組織は、国家公務員の人事制度の運用とその在り方について、国民に対して説明責任を負う国務大臣をトップに頂く組織である。これまで国家公務員の人事管理体制は、人事院や総務省、財務省などにその権限が分散し、結局のところ、誰が管理責任を負うのかがはっきりしない「顔のない」体制であった・・

イギリスの公務員給与

英国大使館の河合君に、次のようなことを教えてもらいました。昨年11月に教えてもらったのですが、紹介する機会を失していました。なお、当時は1ポンド230円で換算していましたが、今は約210円になっています。
英国にもオンブズマンのように、ボランタリーに税金の無駄遣い等を監視している、納税者連合(The TaxPayers’ Alliance)という団体があります。2004年設立と歴史は浅いのですが、昨年初めて公的機関の高額所得者リスト(上位300人)を独自に作成・公表し話題を呼びました。
その新年度版が、2007年11月に公表されました。この対象には、政府及びその関係機関・外郭団体のみならず、BBC・ロイヤルメール・旧国鉄各社といった民営化されたものも含めた事業会社も含まれており、最上位はそうした会社の役員で占められています。
各省の官僚も、相当数がランクインしています。官僚のランキングトップは、地域社会・自治省のLocal and Regional Governance局長で、年収285,000ポンド(約6,555万円)の51位でした。それに続くのがガス・オドーネル内閣官房長官(我が国の内閣官房副長官・事務に相当する官僚のトップ)で年収264,600ポンド(約6,086万円)の58位です。ブラウン首相は188,849ポンド(約4,344万円)の143位に過ぎず、それを上回る中央省庁(エージェンシーなどを除く)の幹部職員は、20名に上ります。
地方団体の事務総長にもランクイン(300位は年収15万ポンド(約3,450万円)してもいいぐらいの年収の人もいると思いますが、地方団体まではさすがに手が回らないのか、含まれていないようです。ただし、ロンドン交通局総裁が年収435,200ポンド(約1億円)で25位、スコットランド政府の事務次官が年収155,000ポンド(約3,565万円)で266位です。ロンドン警察のイアン・ブレア警視総監は、23万ポンド(約5,290万円で80位です。
その他の主な特徴は、
・年収100万ポンド(約2億3千万円)超は1人のみで、ロイヤル・メールの事務総長
・年収50万ポンド(約1億1,500万円)超は17人
・年収25万ポンド(約5,750万円)超は66人。
・リストに掲載された300人の2006年度の平均昇給率は、12.8%(民間も含む全国平均は約4%、一般職公務員の基準は約2%)。
・リストに掲載された300人の平均年収は23万7,564ポンド(約5,464万円)で、労働時間が法定上限の週35時間だと仮定すると時給130ポンド(約29,900円)に相当する。
首相よりも高い人が役人にいくらでもいますし、首相以外の閣僚はランクインすらしていませんので、自分の役所の大臣より給料の高い官僚は数知れません。英国では官民に関わらず、年功序列の定期昇給制度は基本的に崩壊し、幹部職員になればなるほど、そして有意な人材になればなるほど、よりよい待遇を求めて転職を繰り返すことになりますので、ある程度の条件を出さなければ、いい人は採れないという状況は理解できます。
以上、河合君の報告を基に、概要を書きました。イギリスでは、職業公務員は専門職で、政治家は名誉職である、との思想があるようです。地方議員の給与も、これが反映しているようです。なお、この文章は、私が手を入れているので、文責は私にあります。