2007.12.15

今日は、8回目の授業。地方財政の話のうち、残っていた地域間財政格差と、地方交付税の話。交付税については、まだまだ話したいことがあったのですが、時間の関係で涙をのんで終了。簡単にわかってもらうために、新しい図表も作りました。日本地図と新幹線は、わかってもらえたと思います。
その後、第2部課題と改革・第7章分権改革に入りました。

経済の論理と地方の発展

12日の日経新聞経済教室は、前川耀(正しくは火偏)男教授の「これからの国土発展、大都市への集積テコに」でした。前川さんは東京都庁出身の方で、都市から見た国土の発展を述べておられます。
・・東京などへの人口と諸機能の集積は、国や大都市自治体が誘導したのではない。集積が進んだのは市場経済の自律的な運動であり、近年はそれがさらに高次の段階へと移行したにすぎない。世界共通の動きとして知識、情報が経済・科学・文化などの社会活動で大きな比重を占める時代に入り、大都市の集積が富の増大の推進力となった。後戻りできない巨大な文明史的転換がおきている・・
私も、同意見です。ただし、それが一極に集中するかどうかは、別です。すべてが東京に集中することは、必然ではありません。中央集権システムによって、行政と経済と高等教育が東京に集中し、その上に経済の集中の増大があるのでしょう。地域経済振興を考えたとき、この状況を打破するために、道州制がふさわしいと、私も考えています。

自治体財政健全化の反応

12日の朝日新聞は、「赤字減らし加速へ」として、全国首長アンケートを報告していました。今回のテーマは、財政健全化です。
夕張市の財政破綻が財政運営見直しのきっかけになったという首長が、4割です。新しい地方自治体財政健全化法を評価する首長は約半数です。病院会計、国民健康保険などについての解説もあります。時宜を得たアンケートと解説です。

国が決める地方税制

今日、福田総理と石原都知事が会談し、都の税収を暫定的に他の県に配分することを、条件付きで同意したと報道れています。ここに見えるのは、地方税制が、国によって決められているということです。
もちろん、日本は単一国家であり、連邦制ではありません。国とは別に、地方が完全に独自に税制を決めることは、現実的ではありません。しかし、都知事が発言していたように、国が一方的に決めることが、分権の姿から適切なものか、疑問があります。今回は総理と都知事が会談しましたが、これは珍しいことです。初めてのことではないでしょうか。
私は、地方税制改正に際しては、地方団体の代表の意見を聞く場を作るべきだと考えています。地方税は国庫補助金と違い、地方の本来の収入なのですから。
これに関連して、大臣と知事との会議の様子を、思い出しました。政府主催の知事会議です。議事録を見ると、税財政・医療福祉・教育・道路などに関して、意見が交わされています。そしてその多くは、知事から大臣への「お願い」になっています。
日本語では、対等の場合や上の者が下の者に対しても「お願い」を使う場合がありますから、文脈をよく読まないと陳情なのか依頼なのか、わかりません。しかし、依頼にしろ陳情にしろ、知事が自らの責任で処理をできない、あるいはできないと考えておられるようです。これに対し、連邦制のアメリカでは、州知事は滅多にワシントンに行かないのだそうです。

内部告発

11日の日経新聞「内部告発、もう隠せない」が、近年の内部告発で不正が明らかになった企業の一覧表を載せていました。自動車の欠陥隠蔽、食品の原料偽装や期限の改ざんなどです。結果として、社長が辞任したり、会社が倒産したりしています。
カルテルや談合を発見した場合、違反者が通報すると(たれ込むと)、「罰金」(正確には課徴金)が減免される制度あります。これも、結構機能しています。有名企業も入っています。
通報した従業員を守る制度もできています。このような制度は、あまり発動されないことが望ましいのでしょうが、これだけ偽造や隠蔽があるのなら、必要な制度なのですね。
偽造や隠蔽は悪いことです。しかし、私は、ばれたときの記者会見で嘘をつくのが、もっと悪いと考えています。内部告発があったときには、告発者(通報者)は、それだけの証拠と覚悟を持って訴えているのです。