16日の朝日新聞は、「低炭素社会へ。コンパクトな街、注目」を解説していました。車社会の代表として、市街地がドーナツ化した宇都宮市と、コンパクトシティーに踏み出した富山市を紹介しています。地球温暖化という視点以上に、住みやすい街・財政が伸びない時代の街を考えたときに、コンパクトな街と車に頼らない街は重要です。
雪国では、冬の道路の除排雪に膨大な経費がかかります。山の中の一軒家から街の中に降りてきてもらうと、住民も市役所も大助かりです。もちろん、強制することはできず、誘導になるのでしょう。かつて炭焼きと稲作では暮らしていた山村での暮らしは、成り立たたなくなりました(昭和30年代の生活水準なら暮らしていけますが)。
中心市街地を発散させた責任は、行政にもあります。一つは、市役所庁舎や警察署などを、町中から郊外に移転しました。新しい文化ホール、高校、老人ホームも、町はずれにつくってしまいました。用地買収や土地代を考えて、50年というまちづくりを考えませんでした。もう一つは、ゾーニング(用途地域の指定)を、十分に考えなかったことです。どこをにぎわいの場所にし、どこは田園で残すかです。そこで、土地代の安いところやバイパスの沿道に、無秩序にいろんなものが立ち並びました。田んぼの真ん中に住宅も建ちました。右肩上がりの時代が終わり、ようやくこのような議論が真剣にされるようになりました。