国と地方の税源交換について、「税源交換と交付税財源との関係は、どうなるのですか」との質問をいただきました。
税源交換に厳密な定義はありませんが、私は次のように考えています。
1 地方税と国税を交換する。例えば法人2税と法人税を交換する。
2 その際に、地方交付税財源を交換する場合が、「交付税財源を使った税源交換」です。
例えば、5月25日諮問会議民間議員ペーパー「地方税財政改革による自治の確立」の「原則2、矢じりの2つめ」には、この二つが書き分けられています。今回の総務大臣提案は、このうち、「2 交付税財源を使った税源交換」です。この場合は、各税目でも国の取り分に影響しません。
もし、さらに消費税を使って税源交換をするなら、残る交付税財源の消費税は0.5兆円と少なくなっていますので、次は交付税財源でない税源交換になります。
3 もう一つ、同じ税目での税源交換があります。三位一体改革で、3兆円の所得税から住民税への税源移転を行いました。実は、この際に、住民税を累進税率から一定税率(比例税)にしました。所得の低い階層では3.4兆円の国への移譲、所得の高い階層では0.4兆円の地方から国への移譲を行ったのです。0.4兆円は税源交換だったのです。
「地方財政の将来」神野直彦編『三位一体改革と地方税財政-到達点と今後の課題』(2006年11月、学陽書房)p206か、「今後の課題と展望」『三位一体の改革と将来像』(ぎょうせい、2007年5月)p86をご覧ください。