23日の朝日新聞耕論は、「農業再生への道は」でした。生源寺真一教授の発言から。
・・約8万ある水田集落の半数以上には、主業農家(総所得の半分以上を農業所得が占める農家)が1戸もない。
・・「今の農政は小規模農家の切り捨てだ」という批判があるが、小規模農家が弱者であるかのような議論は実態と違う。規模が小さい兼業農家は自治体や企業の勤め人も多く、専業や主業農家よりも経済的には恵まれている。農業を副業にしている農家の場合、総所得に占める農業所得は3%前後にすぎない。兼業農家を無理に排除する必要はないが、厳しい財政事情の下で、サラリーマン農家の小遣いを多少増やして終わるだけの財源の使い方では、都市の人々の支持は得られない・・
私も、農家を一律に議論する曖昧さに、疑問を感じています。専業農家とサラリーマン兼業農家、稲作農家とそれ以外の農家、じいちゃんばあちゃんの農家と壮年の農家、業としての農家と自家消費の農家を、区別して議論すべきだと思います。
そして、農家と農業を分けて議論すべきです。農業を振興することは必要です。しかし、それと農家を守ることとは、別です。
サラリーマン兼業農家は、土地を持っていないサラリーマンからすれば、資産を持った恵まれた人なのです。そして、通常はその人たちは、稲作です。米は余っています。その人たちの「何を」、公費で支援・保障しようというのでしょうか。野菜や果物は、兼業の片手間では、できません。
これに関しては、日経新聞経済教室8月27日の本間正義教授の解説「日本の農家は零細ではあるが、決して弱者でも困窮者でもない。農家の総所得は勤労者世帯より2割以上多い。ただし、農業所得は総所得の14%に過ぎない。日本の農家は零細ではあるが、農地という資産を保有し、勤労者世帯よりはるかに豊かである」や、29日の神門善久教授の解説「農家が農地の農外転用で手にする収入は年間4.8兆円で、毎年の作物生産額5.8兆円の8割に相当する。零細農家の多くは兼業農家で、土地持ちサラリーマンか土地持ち高齢者と言って過言でない。農外転用はまたとない錬金術で、農地は宝くじである」も参考になります(書くのを忘れていました)。