12日の朝日新聞「補助線」は、西井泰之編集委員の「低温経済を読み解く、大胆な変革が呪縛を解く」でした。
・・1990年代後半、物価を成長に必要な通貨供給量との関係でとらえるマネタリストを中心に、大胆な金融緩和を求める声が強まり、日銀は量的緩和策に踏み込んだ。金融はじゃぶじゃぶに緩和され、最近では需給バランスも指標上は回復したのに、デフレだけが残った・・
吉川洋東大教授が指摘するのは「デフレの慣性」だ。「企業は価格を上げられないと考え、消費者や労組も価格や賃金は上がらないと考える『デフレ期待』が定着してしまった』と。結果、需要の勢いが弱い。
バブル崩壊後の長い停滞。企業は激しい競争にさらされ、個人もリストラの渦に。雇用や老後の不安に応える「改革」も進まない。通貨供給量を増やしても、前ほど投資や消費に回らなくなった。「将来に自信が持てない成長期待の低下」が、経済を縮こまらせているというわけだ。
日銀幹部は「日本経済が低温体質になった。金融政策だけで『期待』を変えて物価を上げるのは無理だ』という。長い停滞の「呪縛」から抜け出し、時代の気分をどう変えるか。例えば大胆な地方分権、社会保障費を中心にした歳出構造への大幅な組み替えなどはどうだろう・・・