8日の日経新聞経済教室は、横山禎徳さんの「高齢時代の社会制度設計、産業横断的なシステムに」でした。
・・戦後日本を支えたシステムが老朽化しているのに、高齢社会に向けた新しい「システム」がきちんと準備されていないという問題である。ここでいうシステムとは、コンピュータシステムや情報システムのことではない。もっと広い意味でとらえるべきで、筆者は「社会システム」と名付けている。社会のあらゆる側面は社会システムが支えており、医療、介護、年金、交通、通信、教育、徴税など社会システムとしてとらえられるものは少なくない。
・・社会システムは、その性格上、産業横断的である。「医療産業」には、銀行や保険会社、建設会社、ソフトウエア会社、コンピュータ会社は入らないが、「医療システム」では、医療保険を提供する保険会社、病院や診療所をつくる建設会社、それに融資をする銀行、さらに診療報酬明細書(レセプト)の電子化などに携わるソフトウエア会社、それを処理するハードウエアを提供するコンピュータ会社なども含まれてくる。
産業横断的であるということは、管轄する行政機構も省庁横断的になる。日本の行政機構は長年縦割り行政の弊害を指摘されてきた。・・問題は別のところにもある、すなわち、産業・省庁横断的に課題を解決する能力や生活者の視点での発想が、官僚に身についていない。優秀な日本の官僚も、システムデザインという新たなスキル(技法)を訓練されておらず、社会システムのデザインができないのだ・・